市民で街を作品に 逗子アートフェスティバル|カナロコ|神奈川新聞ニュース

市民で街を作品に 逗子アートフェスティバル

補助金カットも自主企画

市民も参加して作品づくりが行われた制作現場=逗子市逗子1丁目

 逗子市内で12日から始まる「逗子アートフェスティバル」が今年、大きく様変わりする。これまで市が主導し、主に招待された芸術家らの作品を街中に飾ってきたが、今回は市民有志らが主体になり、企画から広報、作品づくりまでに関わる。きっかけは、財政難に苦しむ市が補助金をカットしたこと。運営メンバーらは「人と人とがつながり、楽しみながら誕生した作品を味わってほしい」と来場を呼び掛けている。

 同フェスは、市民の文化活動を盛り上げるため、2013年に始まった。地元の観光協会や商工会などでつくる実行委員会が主催。招待した芸術家らの作品を市内各所に展示するなどし、昨年は延べ7万人が来場した。

 だが、18年度当初予算編成で財源不足が見込まれたことから、市は昨年6月、緊急財政対策本部を設置。計163の事業を見直し、実行委に拠出していた補助金約180万円のカットを決めた。

 開催費用を補助金で賄っていたため、実行委では休止も検討された。「自分たちの手でやろう」。市民が文化に親しむ機会を残すため、同フェスの運営を担っていたメンバーや市民が立ち上がった。

 フェイスブックで参加者を募り、市内外から集まった20代から70代までの約130人で、運営母体「逗子アートネットワーク(ZAN)」を組織。企画や広報などのチームに分かれ、月1回集まり、準備を進めてきた。資金の調達にクラウドファンディングを活用。2カ月弱で200万円ほど集まった。

 「資金がないなら、みんなでアーティストになればいい」。参加者から出されたアイデアを基に、市民が作品づくりに携われる場も設けた。使用済みのファイルやプラスチック廃材で波や船をつくり、「海と空に溶け込む僕たちのエネルギー」を表現した、地元出身のアーティスト松澤有子さん(43)の作品には、延べ約500人が参加。細かく裁断したファイルや廃材をたこ糸やロープに付ける作業を手伝った。

 「人口減や高齢化が進めば、どこでも財政難に直面する可能性はある」。そう指摘するのは、ZAN発起人の柴田雄一郎さん(52)。「市民が『自分ごと』として街をデザインする力が今後、問われている」とし、「市民がアーティストになり、街が作品になった。作品制作に参加できる企画もあり、足を運んでもらえたら」とほほ笑んだ。

 同フェスは28日まで、市内15カ所を会場に行われる。問い合わせは、事務局電話046(873)1111。

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