支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 介護医療院(下)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 介護医療院(下)

鈴木龍太・日本介護医療院協会会長 「在宅支援にも注力」

鶴巻温泉病院の医療療養病床の多床室(4床)。介護医療院の多床室への改修では、これに間仕切りなどを加え、プライバシーを確保する

 日本介護医療院協会の鈴木龍太会長が理事長・院長を務める医療法人社団三喜会・鶴巻温泉病院(秦野市)では、介護医療院の開設を含め、地域包括ケアシステムへの対応を急いでいる。インタビューの最終回では、超高齢社会が進展する中での病院の役割と、三喜会の取り組みを聞いた。 

 -各自治体では、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるようにする地域包括ケアシステムを構築中だ。鶴巻温泉病院のように、症状が安定した患者が入院する慢性期病院の役割は。

 「鶴巻温泉病院は、回復期、生活期、維持期、終末期のリハビリテーションを提供している多機能の慢性期病院だ。リハビリテーション担当は、理学療法士約100人、作業療法士約60人、言語聴覚士約30人、レクリエーショントレーナー約10人で計200人を超える。患者さんの4割は脳梗塞、脳出血だが、発症から回復期リハビリテーション病棟に来るまでの日数が短いほど、日常生活動作の回復は良くなり、生活の質も上がっている。寝たきりを防ぎ、在宅復帰を進めるには、回復期リハビリテーションを少しでも早く集中的に行うことが重要だ」

 -発症直後の対応を行う急性期医療では手術など治療に集中するが、慢性期医療では治療に加え生活の質も重要となる。

 「慢性期医療は、患者さんの生活の質を考える全人的ケアを目的とした医療だ。在宅復帰の支援をし、長期療養を支え、時には終末期のみとりも行う。鶴巻温泉病院では多職種が連携してチーム医療を行い、患者さんの人生の満足度が向上するよう取り組んでいる。良質な慢性期医療がなければ、日本の医療も、地域包括ケアシステムも成り立たない」

 -地域包括ケアシステムでは在宅支援も欠かせない。

 「この数年は、入院前や退院後の在宅療養に対して、訪問リハビリや通所リハビリ、訪問栄養指導、訪問歯科、神経難病の人のレスパイト(介護休暇)入院、がんや長期療養の人の短期入院など、地域の人々の入院と在宅療養を支える病院としての役割強化を進めてきた。訪問リハビリは月350件以上、訪問診療は月100件、訪問歯科も月70件、訪問栄養指導は月30件になる」

 「4月には、急性期の治療が終わってもう少し治療やリハビリが必要な人や在宅療養中に症状が急変した人に対応する地域包括ケア病棟を新設した。訪問看護ステーションも拡充。さらに、在宅療養中の人の緊急入院を受け入れる在宅療養後方支援病院にもなった」

 -三喜会では介護老人保健施設、訪問介護、グループホームなどの介護事業も幅広く展開し、秦野市の地域包括支援センターも2カ所、事業受託している。医療介護連携が法人内でできる。

 「地域の病院として患者さんの必要に迫られ、自然に介護事業も拡大した。医療、介護の途切れのない運営を行っている」

 -最後に、介護医療院の開設では、医療と介護の制度間の違いも課題になった。

 「医療療養病床、一般病床から介護医療院への転換では、財源が医療保険から介護保険に変わる。介護保険は市町村単位なので、市町村にとっては新たな財政負担になる。あらためて小規模自治体の財政の厳しさを感じた。より広域な対応ができないのか問い掛けていきたい」

 ◆鶴巻温泉病院 内科、リハビリテーション科、神経内科、歯科。回復期リハビリテーション病棟206床、医療療養病棟180床、障害者・難病リハビリ病棟120床、緩和ケア病棟25床、地域包括ケア病棟39床など計591床(定床)。常勤職員(4月現在)は、医師・歯科医師24人、看護師214人、介護福祉士・メディカルアシスタント147人、リハビリテーション担当202人など計712人。

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