衰退する丹沢ブナ林、再生を 厚木で企画展|カナロコ|神奈川新聞ニュース

衰退する丹沢ブナ林、再生を 厚木で企画展

パネル展「丹沢のブナ林再生をめざして」のパネルの内容を説明する担当者=厚木市七沢の県自然環境保全センター

 県自然環境保全センター(厚木市七沢)は、立ち枯れなど衰退が続く丹沢のブナ林にスポットを当てた企画展「丹沢のブナ林再生をめざして」を12月16日まで開催している。16枚のパネルでブナ林の現状、衰退の要因、対策と再生へのロードマップを示している。ブナ林の再生は、県が進める丹沢大山自然再生計画の奥山域における目標にも設定されている。

 同センターによると、丹沢のブナ林は標高800メートル付近から最高峰の蛭ケ岳山頂(1672メートル)まで分布し、かつては下草や低木も生い茂るうっそうとした森林だった。

 だが、1970~80年代から立ち枯れなどが目立ち始めた。90年代になると立ち枯れたブナが倒れ、森林上部にぽっかりと穴が空いたギャップと呼ばれる状態が増えた。90年代以降は蛭ケ岳~丹沢山間の竜ケ馬場(ばんば)付近や、檜洞丸(ひのきぼらまる)頂上付近などの稜線(りょうせん)部で、立ち枯れたブナが倒れ、草地化した状態が広がった。

 2004~05年に実施された丹沢大山総合調査などで、ブナの立ち枯れや衰弱の要因は(1)大気汚染物資のオゾンがブナの葉緑体の機能を阻害する(2)増え過ぎたシカが下草を食べて植生を衰退させ、林内が乾燥する水ストレス(3)昆虫のブナハバチによる葉の食害-などの複合作用による、とされた。

 対策として、ブナの幹に巻き付けてブナハバチの幼虫を捕獲する粘着シートの利用や、シカを防ぐ植生保護柵の拡大、シカの管理捕獲などを実施している。

 パネル展では、これらブナ林の現状、衰退の要因、対策と今後の再生のロードマップなどを豊富な写真とともに紹介している。いったん衰退した場所が、かつてのような「うっそうとした健康なブナ林」に戻るまで50年、100年もの長い年月がかかることも図で示した。

 同センターでは「ブナ林は標高の高い奥山に多いので目にする人は少ないかもしれないが、県民の水源地を形成し、生物多様性にとっても重要なもの。丹沢にブナ林があることをまず知ってもらい、その大切さと再生の道筋を多くの県民に理解してもらいたい」と話している。

 入館無料。月曜休館(10月8日は開館、9日休館)。問い合わせは、同センター電話046(248)0323。

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