酒と笑いの記憶を一冊に 横浜・野毛大道芝居の回顧録 地元店主が出版|カナロコ|神奈川新聞ニュース

酒と笑いの記憶を一冊に 横浜・野毛大道芝居の回顧録 地元店主が出版

野毛大道芝居の回顧録を手に当時を振り返る福田豊さん=8日、横浜市中区の一千代

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 荒唐無稽な筋立てにハチャメチャな演出の「野毛大道芝居」。横浜市中区の野毛地区で1994年から2005年まで11回開かれた創作劇の回顧録「横浜・野毛大道芝居の日々」が出版された。ハマの文化人やお祭り好きの町衆、果ては横浜市長までもが加わり、手弁当で盛り上げてきた日々を面白おかしく振り返る。

 野毛大道芸フェスティバルの関連イベントとして、中華料理店「萬里」の福田豊さんの思い付きからスタートした。福田さんはプロデューサーとなり、座長は横浜在住の俳優・高橋長英さんが就任。飲んべえの街・野毛の路上や駐車場に特設舞台を設けて、野毛を愛する飲んべえたちが出演し、街に笑いを振りまいてきた。

 当初は十数人で始まった素人芝居だが、役者志願者が年々増え、最終的に40人近くに。裏方も含めると総勢70人余りの有志がボランティアで作り上げた。芝居のエンディングは横浜の大スター美空ひばりの「港町十三番地」をそろって歌うのが恒例だった。

 回顧録では「野毛風(ぷう)太郎(たろう)」という架空の著者が「荒野の七人」と「白雪姫」のミックスなど、いろいろな物語がごちゃ混ぜとなった大道芝居の魅力と歩みを振り返る。鬼籍に入った評論家平岡正明さん、シャンソン歌手元次郎さん、料理評論家小林カツ代さん、そして横浜市長だった高秀秀信さんたちへの追悼も寄せている。

 出版記念会が8日、大道芝居と縁が深い野毛の飲食店「一千代」で開かれ、作家の山崎洋子さんや荻野アンナさん、大島幹雄さん、アナウンサー浅木勝さんら出演者と平岡さんの妻秀子さんら約30人が集まり、懐かしい故人をしのんでひとしきり献杯を重ねた。

 プロデューサーの福田さんは「普遍的に、より多くの地域に広がるのが『文明』とするならば、ごく一部の地域に深く根付くのは『文化』。その意味では大道芸は文明だが、大道芝居は文化だった。野毛だからこそできあがった文化だった」と振り返った。

 四六判、256ページ。1300円(税別)。問い合わせは、山中企画電話03(6903)6381。

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