【減災新聞】札幌5強「再液状化」 15年前の十勝沖地震以来|カナロコ|神奈川新聞ニュース

【減災新聞】札幌5強「再液状化」 15年前の十勝沖地震以来

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  • 公開:2018/09/18 02:00 更新:2018/09/18 02:00
 最大震度7を観測した北海道胆振(いぶり)地方の地震で、札幌市清田区では液状化現象が発生し、宅地や道路が深刻な被害に見舞われた。地盤防災工学を専門とし、9日に現地調査に入った関東学院大の規矩(きく)大義(ひろよし)学長によると、一部の地域では2003年9月の十勝沖地震以来の「再液状化」が起き、住宅の傾斜被害も再発。複合的な要因が考えられる被害現場もあり、地盤対策の課題を浮き彫りにしている。

 マグニチュード(M)6・7の胆振地方の地震で観測された清田区の震度は5強。十勝沖地震はM8・0の巨大地震だったものの、沖合で起きたため、震源の近い今回の方が揺れは強かった。

 その影響で液状化が発生したのは、一戸建て住宅が立ち並ぶ清田区の美しが丘地区。傾斜被害の出ている住宅も多数確認されており、「頭が痛い」「もう住めない」といった声が住民から出ているという。

 「十勝沖地震の時と同じ場所から砂が噴き上げたのを確認した。当時より今回の方が液状化現象の起きた範囲が広く、被害の程度も大きい」。15年前の現地調査と比較し、規矩学長は指摘する。

 ただ、状況を細かく見ると、被害や影響の度合いに違いがあった。「15年前の復旧でくいをしっかり打つなどした家は、敷地が沈下しても大きな被害が出なかったようだ。しかし、傾いた家を持ち上げて基礎を修復した程度の所は、再び傾斜被害を受けている」

 規矩学長は「かつては液状化が起きた後は地盤が密になると考えられ、再液状化のリスクは知られていなかったが、実際には、液状化が1度発生した場所では再び起きるということをきちんと認識すべきだ」と強調する。

 一方、清田区の里塚地区では道路が大きく陥没し、多数の住宅が著しい傾斜被害に見舞われている。現場は、かつての谷を埋めて造成された住宅地。液状化だけでなく水道管の損傷も加わったことで、大量の水が噴き出した。

 液状化の象徴的な現場として取り上げられているが、「液状化だけでは、あのような状況にはならない。複合的な要因によるものだ」と規矩学長は分析。「地下には水路がある。それが何らかの影響を及ぼした可能性がある」とみている。

 現地調査の結果を「今回も起こるべくして液状化が起きてしまった」と受け止めつつ、被害防止に向け公助の拡充を訴える。「液状化の対策は個々の住宅で行うのが基本だが、公開されている液状化マップでは、土地ごとの危険度が色分けして示されている。そうした情報に基づき、行政が地盤対策を支援することも必要だ」

自助のヒント 土地履歴から分かるリスク
 液状化が起きると、建物に被害がなくても敷地に段差が生じたり埋設管が破損したりして、ライフラインに支障が出る。関東学院大防災・減災・復興学研究所の若松加寿江研究員によると、千葉県浦安市では東日本大震災時に上下水道が1カ月、ガスは半月以上使えなかった。発生しやすいのは、砂を多く含む緩い砂地盤で地下水位が高い場所。埋め立て地だけでなく、大河川の沿岸、過去に川や沼だった場所、沢を埋めて盛り土した造成地、砂利採取跡地など内陸でも起きる。古地図などで土地の履歴を確かめ、地名にも注意するのが望ましい。

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