民泊型修学旅行、保護者は不満 農漁業体験「食事などに差」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

民泊型修学旅行、保護者は不満 農漁業体験「食事などに差」

 海老名市内では、民泊型の修学旅行を取り入れている中学校が多い。観光地を団体で回る従来のスタイルが県内では主流だが、民家に寝泊まりし、農業や漁業といった1次産業を体験している。ただ受け入れ先によって食事の内容に差が生じるなどの課題があり、生徒・保護者から不満の声も上がる。学校側は体験活動の多様性や旅行計画の策定時期などを理由に、見直しには消極的だ。

 民泊型の修学旅行は、生徒が数人のグループに分かれて民家に宿泊し、受け入れる住民と交流する。

 市教委によると、2018年度は市立中学校6校のうち4校の3年生が5、6月、2泊3日で民泊型の修学旅行に出掛けた。行き先は京都、滋賀、広島、青森など各校の目的によって異なり、民家の営む農業や漁業を体験したり、平和学習をしたりするなど、各校が趣向を凝らした。1人の費用は5万数千円だった。

 一方で、保護者の間には不満の声が根強くあった。市教委が昨年7月に保護者負担経費検討委員会を設置したのに合わせて行ったアンケートで、「民泊は不安。ホテルと比較しても高すぎるのでやめてほしい」(65件)、「農業体験型が多いようだが、観光も取り入れてほしい」(19件)など、見直しを迫る声が寄せられた。

 市教委幹部は「以前から民泊に反対の保護者がいることは認識していた。その実態をうかがい知ることができる数字が初めて得られた」とし、見直し議論の必要性を示した。

 修学旅行シーズンを迎えた今年5月の検討委でも、保護者代表の委員から「民家によって食事や体験内容に差があり不平等」「民泊型なら行きたくないという生徒も出ている」と否定的な意見が相次いだ。賛否がある中で、「生徒や保護者に丁寧に説明し、意見を聞く機会も設けてほしい」と目的などが十分周知されていない現状を改善するよう求める意見も出された。

 内野優市長も民泊型に疑問を抱く。昨年11月の市総合教育会議で、参加した中学生が見直しを要望した際、「農業体験をしたいならば海老名でもできる」と指摘。「生徒が旅行先で分散しており、危機管理上の問題もある」との見解を示した。

 これに対し、学校側は見直しに消極的だ。その理由の一つが、旅行計画の決定スケジュール。通常、1年の秋の段階で既に仮決定する慣行がある。ある中学校長は「受け入れ先がしっかりしていることが候補地選定の最重要要件。現状では選定過程で生徒や保護者の意見を聞くことは時間的に制約があり、難しい」と明かす。

 公益財団法人全国修学旅行研究協会は「高校では生徒の意見を聞いて行き先などを決める例もあるが、中学校ではあまり聞かない。都会では味わえない体験をさせたいなど、各校が狙いを定めて形態を選択している」と説明している。

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