「いじり」は「いじめ」 自殺遺族が中学生に訴え|カナロコ|神奈川新聞ニュース

「いじり」は「いじめ」 自殺遺族が中学生に訴え

「いじめは被害者、加害者だけの問題ではない」と語る篠原宏明さん=藤嶺学園藤沢中学校

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 夏休み明けの子どもの自殺が深刻な社会問題となっている中、8年前にわが子をいじめ自殺で失った遺族の講演会が8日、藤嶺学園藤沢中学校(藤沢市西富)で開かれた。「いじめが行き着く先は人の死。あなたの何げない一言が誰かを死に追いやるかもしれない」。父親は生徒約100人を前に静かに語り掛けた。

 2010年6月7日、川崎市立中学3年の篠原真矢(まさや)さん=当時(14)=は「友だちのことを護(まも)れなかった」と遺書を残し、自宅で自ら命を絶った。

 調査委員会の調査によると、真矢さんは中学2年の時、同級生4人からいじめに遭った仲の良い友人をかばっているうちに自身が標的にされた。自らが標的になることで他の生徒へのいじめが止まるため「いじられ役」を演じ続けたが、現状を変えられず次第に追い詰められ、最後は自らの死でいじめを告発したのでは、と推察された。

 事件後、加害生徒4人は父親の宏明さん(54)に「いじめではなく、いじっていただけです」と話したという。

 この日の講演で宏明さんは「『いじめ』と『いじり』の違いは何か」と会場の生徒たちに問い掛け、続けた。「皆さんが思っているいじりは大丈夫ですか。その場のノリ、空気、笑いでごまかしていないか。いじることは人を笑いものにし、見下し、人権を奪う。それはいじりではなく、いじめです」

 同校では7年前から毎年、いじめをテーマにした学習を続けている。その理由を佐野健校長は「さまざまな地域、家庭環境の子どもたちが集まってくる。最初は譲り合っていても、慣れてくると暴言を吐いたり、暴力を振るってしまったりすることがある。いじめの問題に学校として継続して取り組み、子どもの心に寄り添っていかなければならない」と語る。

 宏明さんは「事件後『怖くていじめを止められなかった』『助けてあげられなくてごめんなさい』と打ち明けてくれた真矢の同級生がたくさんいた」と明かし、こう結んだ。「被害者、加害者だけの話ではない。その場にいた子どもたち全員が当事者であり、心に深い傷を負う。それが、いじめです」

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