〈時代の正体〉川崎市長「条例に抵触せず」 対テロ見本市で武器カタログ展示|カナロコ|神奈川新聞ニュース

〈時代の正体〉川崎市長「条例に抵触せず」 対テロ見本市で武器カタログ展示

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/09/05 11:34 更新:2018/09/05 11:41
【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市中原区のスポーツ施設「市とどろきアリーナ」を会場にイスラエル企業が開催したテロ対策製品の見本市で武器のカタログが展示された問題に関し、福田紀彦市長は4日の定例会見で「(アリーナの使用に関する)条例違反とは言い難い。会場の提供に問題はなかった」との見解を示した。これに対し、施設の使用許可の取り消しを求めていた市民団体は「約束違反があったのは明らか。行政の管理能力が疑われる事態だ」と批判している。

 カタログは爆弾処理の防護服などを展示していたイスラエル企業がブースで配布。英語版で狙撃用ライフルやマシンガン、銃弾を商品として掲載していた。見本市初日の8月29日に中原区の担当者が「武器の展示や商談は行わないのが前提で、カタログ展示は不適切」と撤去を求め、企業側も応じていた。

 会見で、福田市長は「日本語版に武器は載っていなかった。英語版にたまたま紛れ込んでいた。武器の商談はしないという事前の約束とそごがあったので撤去をお願いした」と経緯を説明した。同アリーナ条例では、不適当な利用や利用目的に反した場合、使用を不許可にしたり、許可を取り消したりできると明記しているが、「カタログが置かれているからといって条例に違反するとは言い難い。(条例違反との指摘は)こじつけの感がある。商談は行われなかったと思う」と述べ、会場の使用を許可し、許可を取り消さなかった市の判断は適切だったとの見解を繰り返した。

 これに対し、市民団体「川崎でのイスラエル企業の軍事エキスポに反対する会」の杉原浩司さんは「間違いか否かという意図の問題ではなく、商談用の武器カタログの展示は事実行為として明白な約束違反。主催者の責任を問い、開催を中止させるべきだった」と指摘。「許可の大前提だった『武器の展示や商談はしない』という約束をほごにされたにもかかわらず、使用を認めた甘い対応は行政の管理能力が欠如していると言わざるを得ない。問題ないという自らの判断にこだわり、思考停止に陥っている印象だ」と批判した。

 同会は「イスラエルのセキュリティー企業がパレスチナ人に対して行っている人権侵害に行政が加担するというあしき前例を作った。同じ問題を繰り返させぬよう、責任を追及していく」とし、福田市長との話し合いの場を求めていくことにしている。

 ◆ISDEF Japan(イスラエル防衛・国土安全保障見本市) 8月29、30日の2日間、市とどろきアリーナを会場にイスラエル企業を中心に米国やカナダ、日本など6カ国55社が出展。招待者や事前登録した行政・企業関係者らを対象にテロ・サイバー攻撃対策の装備などを展示した。市民団体や学識者らは「展示されるのはパレスチナ人の弾圧や殺傷を通じて開発されてきたイスラエル企業の装備で本質は軍事見本市。五輪開催を名目にした売り込みに市は手を貸すべきではない」として市に同アリーナの使用許可取り消しを求めていた。

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