逗子の私設科学館、9月休館 疑問大切に10年、評価高く|カナロコ|神奈川新聞ニュース

逗子の私設科学館、9月休館 疑問大切に10年、評価高く

森さん(左から4人目)らと一緒に、CDを使った視覚実験をする親子=逗子市池子2丁目

 逗子市の私設科学館「理科ハウス」(同市池子2丁目)が9月、休館する。目標だった開館10周年を区切りに、充電期間に入る。自然と湧き上がる「どうして?」を大切に、子どもも大人も一緒に学び、楽しむ仕掛けを用意。活動ぶりが評価され、今年の「科学ジャーナリスト賞特別賞」にも選ばれた。自称「世界一小さな科学館」の休館に、早くも再開を待ち望む声が上がっている。

 夏休みに入ったばかりの7月22日夕。10人ほどの親子が丸いテーブルを囲み、CDを凝視していた。

 市松模様の紙を張ったCDを回転させる。速度を上げると模様は見えなくなり、速度を下げると止まったように見える。「どうして?」。子どもたちに、学芸員の山浦安曇さんが答える。「どうしてか、考えてみよう」

 理科ハウスは2008年5月、元中学教諭の森裕美子さん(62)が開館した。「疑問に思ったことは調べたくなる。調べれば発見があり、伝えたくなる。不思議だな、面白いな、と思うきっかけをつくりたかった」と森さん。

 きっかけづくりの一つが、身近な材料を生かして行う実験だ。扇風機で竜巻を再現したり、水を加えた片栗粉が液体から固体に変化するのを体感したり…。そこで頭に浮かぶ「なぜ?」に簡単には答えない。ヒントを出し、一緒に考え、答えを探す。謎解きを通し、理科の楽しさを伝えるのが狙いだ。

 その考えは、館内の一角にも反映されている。「どうして退屈だと眠くなるの?」。壁には来館者が疑問を記したメモがつるされている。答えを知る別の来館者が裏側に回答し、共に学ぶ仕組みだ。「私の宝物」。メモを見ながら、森さんはほほ笑む。

 森さんらの思いは、科学館に魅了された子どもたちに受け継がれている。「実験や展示を見て、予測を立てて議論することで、新しい考え方があると知り、世界が広がった」と語る北里大学1年の渡部舞さん(18)もその一人。

 水族館の飼育員になるのが夢だった。森さんらに相談すると、知り合いの飼育員を呼んでくれた。理科ハウスに招かれた研究者らにも刺激を受け、今は大学で飼育員を目指し、海洋科学の勉強に励んでいる。思いはさらに次の世代にもつながる。渡部さんと科学館で出会った魚好きの男児は「僕も海の勉強がしたい」と目を輝かせたという。

 延べ約3万7千人が訪れた理科ハウスは、9月8日までの企画展を最後に休館する。「毎日が気付きの連続。楽しかったからこそ、10年できた」と森さん。常連の中学1年の女子生徒(13)は「科学のディズニーランドみたいな場所。寂しいけれど、再開を待っている」と話した。

 ◆理科ハウス 開館時間は原則、午後1時から同5時まで。毎週月、金曜日は休館。入館料は中学生以下無料、大人100円。9月8日まで、「逆さま」をテーマにした企画展「逆にしようぜ!大逆展」を開催している。

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