シニア生き生きと活躍  バッグブランドが横浜に拠点|カナロコ|神奈川新聞ニュース

シニア生き生きと活躍  バッグブランドが横浜に拠点

魅力的な商品が並ぶショップ店内。宮川昌子さん、楠佳英社長、楠美智子さん、中村順子さん(右から)

 女性や高齢者に活躍の場を提供する、手作りバッグブランドのビヨンドザリーフ(川崎市宮前区)が7月末、東急東横線日吉駅から徒歩3分の場所にアトリエ兼実店舗(横浜市港北区)をオープンさせた。作り手の女性たちが自ら店頭に立ち、接客も行う。「ここはシニアでも楽しく働ける可能性を可視化でき、みんながつながれる場所」と語るのは楠佳英社長(43)。事業を通じて実現したいのは、高齢者が活躍できる社会だ。

 同社で働くのはすべて女性で、運営スタッフ7人と作り手が45人ほど。50~60代の作り手が多いが、幼稚園の子どもを育てる母親もいる。家事や育児・介護の合間をぬって商品を仕立て、打ち合わせは無料通信アプリLINE(ライン)やインターネット電話「スカイプ」を活用。「働ける時間がまちまちな女性にとって、通勤は負担。ハンドメイドが好きな女性たちが、自分の空き時間を使って収入を得られる仕組み」と楠社長は説明する。

新しい価値


 起業のきっかけは、楠社長の義理の母親である美智子さん(72)が趣味でつくっていた編み物。その出来栄えを見て「この時間と手間をプロデュースすれば、新しい価値が生まれるのでは」と考えた。自身は女性向けファッション誌の編集者として活躍していたが、早すぎるファッションサイクルに疑問を感じ「おばあちゃんが丁寧に手作りしたバッグなら、長く大切に使ってもらえるのでは」という思いもあった。編み物の上手なおばあちゃんを見つけるのには苦労したが、地域の高齢者や障害者が集まるコミュニティーカフェ「いのちの木」(同市都筑区)の編み物サークルから3人が参加してくれることになり、2014年に同社を立ち上げた。

ブランド力


 楠社長がプロデュースするバッグは、トレンドを取り入れつつ、シンプルで長く愛用できるデザイン。ニット地を編む「編み手」と、かばんの形に仕立てる「縫い手」が作業を行うが、完成までに厳しいチェックを受ける。注文を受けてから生産するスタイルだが、30代後半から40代前半の女性を中心に支持され、これまで約8千個、1億円を売り上げた。

 同社のコンセプトは「高齢者の社会参加」と「編み物技術の若い世代への継承」だが、ビジネスを継続していくためには商品力やブランド力も重要だと楠社長は語る。「おばあちゃんたちの手作りというストーリーは重要な付加価値だが、その理由だけで購入してもらっても2個目はない。商品のクオリティーと、スタッフのやりがい両方を大事にしていきたい」

働ける喜び


 「自分の好きなことで社会と関われるのは喜び。会社に必要とされ、作ったものを買ってくれる人がいるというのは励みになる」と話すのは会社の立ち上げ時から編み手として働く宮川昌子さん(76)。同じく楠美智子さんも「社会の中で役割を得て、大切な仲間もできた。この場をつくってくれたことに感謝している」と声をそろえる。

 今後は拠点を増やし、シニアが活躍できる日本にしていきたい、と語る楠社長。「このビジネスモデルは他の産業にも応用可能。人生100年時代と言われる中で、楽しんで生きる高齢者が増えれば若い世代の希望にもなるはず」

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 9月19~25日には横浜高島屋でポップアップストア(期間限定の出店)を開催予定。

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