支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 担い手の住民たち(3)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 担い手の住民たち(3)

新たな地域貢献へ  社会福祉法人も参入

泉サポートプロジェクトによる高齢者送迎を調整した木下さん(左)と成島さん

 横浜市泉区の高齢者の大きな生活課題となった移動の問題。上飯田地域ケアプラザをはじめ、各地域ケアプラザの生活支援コーディネーターによる取り組みに加え、区内全域的な取り組みも、区社会福祉協議会の生活支援コーディネーターによって進められた。

 区社協の生活支援コーディネーター(当時)の阿部嘉之さん(42)が投げ掛けを行ったのが、区内の社会福祉法人、医療法人、NPO法人、介護事業所、障害福祉事業所など102会員でつくる区社会福祉協議会専門機関部会だった。

 泉区には、特別養護老人ホームが15施設もあるなど福祉施設の数が多い。工夫すれば活用できる福祉車両も多いはずだった。また、横浜市の生活支援コーディネーターが配置された2016年4月はちょうど、社会福祉法人の「地域における公益的な取組」の責務を創設した改正社会福祉法が一部施行された時期と重なっていた。

□■□

 阿部さんの投げ掛けもあり、同部会では同年秋から、地域貢献への取り組みの検討が始まった。その結果、17年5月、部会員の中から社会福祉法人など約30会員が参加して、それぞれの強みを生かして地域貢献をしようという「泉サポートプロジェクト」が発足した。

 同部会長でプロジェクト代表にもなった鈴木啓正たちばな会理事長(58)は「社会福祉法人にとって地域貢献は言われるまでもなく本来の使命だが、これまで自らの事業に集中し過ぎたきらいがあった。自らの事業以外でもできることをやっていきたい」と話す。

 地方と違い、県内など都市部では高コストのため、社会福祉法人の事業運営は厳しい。職員の確保・待遇向上などにも苦労している。ただ、そうした中でも福祉車両の活用をはじめ、可能な地域貢献策をあらためて洗い出すことになった。

 プロジェクトの第1弾として、まず、鈴木代表のたちばな会が名乗りを上げた。たちばな会は同区和泉町で特別養護老人ホーム「天王森の郷」、地域密着型通所介護「デイサービスセンター天王森の郷」などを運営している。デイサービスの送迎前後など、福祉車両を活用し移動支援などに貢献できる可能性があった。

□■□

 具体的な調整役は、阿部さんから同会の地元である下和泉地域ケアプラザの生活支援コーディネーター木下ひろみさん(47)にバトンタッチ。木下さんと、たちばな会の生活相談員成島咲子さん(41)が、地域の数ある移動支援ニーズ、たちばな会として可能なことについて検討を重ねた。

 その結果、選ばれたのが、和泉第一町内会館で毎週木曜日に開かれている高齢者サロン「高齢者の居場所づくり」(本郷守男代表)だった。同サロンは、2008年にオープンし毎回十数人の高齢者が集まる地域でも歴史あるサロンだが、自力で来るのが原則。長年参加していたものの、足が弱くなって参加を止めた人、移動手段がないため、参加したくても参加できない人がいた。

 こうして17年10月、生活支援コーディネーターの配置などの介護保険制度の生活支援体制整備事業と、改正社会福祉法人の「公益的な取組」を融合させた形で「泉サポートプロジェクト」が動きだした。


 ◆社会福祉法改正 社会福祉法人のガバナンスの強化、透明性向上などを進めるため、2016年3月に社会福祉法の一部改正が行われ、社会福祉法人制度の改革が行われた(17年4月全面施行)。社会福祉法人について、(1)経営組織のガバナンスの強化(2)事業運営の透明性の向上(3)財務規律の強化(4)地域における公益的な取組を実施する責務(5)行政の関与の在り方-を規定した。公益的な取組は「日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない」とした。

PR