〈時代の正体〉軍事産業に手貸すな 川崎、対テロ見本市問題でシンポ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

〈時代の正体〉軍事産業に手貸すな 川崎、対テロ見本市問題でシンポ

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/08/07 02:00 更新:2018/08/07 02:00
テロ対策見本市の問題点を論じたシンポジウム=3日、川崎市高津区のてくのかわさき

テロ対策見本市の問題点を論じたシンポジウム=3日、川崎市高津区のてくのかわさき

【時代の正体取材班=石橋 学】8月末に川崎市中原区のスポーツ施設「市とどろきアリーナ」を会場に、イスラエル企業がテロ・サイバー攻撃対策装備の見本市を開催する問題で、市民団体「川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会」は3日、同市内でシンポジウムを開いた。登壇者は「軍事の一角を占める監視・諜報(ちょうほう)技術の売り込みが本質。国際的な非難が高まっているイスラエルの軍事産業に手を貸すべきではない」と強調。平和と人権を掲げる同市が公共施設を貸し出す問題点を論じ合った。

 冒頭、福田紀彦市長が2日の定例会見で、この問題について問われ「五輪などの大規模イベントの安全対策の製品を展示すると聞いている。どこに問題があるのか」「武器の展示はしない。ルールに反しない限り、貸し出すのが原則だ」との認識を示した映像が写し出された。

 これに対し、同会メンバーでNGO団体「武器輸出反対ネットワーク」代表の杉原浩司さんは「市民の懸念や疑問に向き合う姿勢がない」と批判。イスラエルでは、帰還を求めてデモ行進するパレスチナ難民の無差別殺傷が続いていると指摘した上で「子どもまでもが傷つけられている。市長はこの現実に想像力を働かせられるか、知ろうとしているかが問われている」と問題提起した。

 杉原さんは「イスラエルのサイバーセキュリティー企業は元軍人や諜報機関員が立ち上げたものが多く、技術的にも軍事との垣根はない」と説明。安倍政権がイスラエルとの防衛、サイバー分野での連携や経済協力を推進する一方で、世界各国ではイスラエル企業への投資の引き揚げや製品ボイコットが行われているとし、「パレスチナ側の抵抗をテロとみるなら、イスラエルの占領、民間人虐殺こそ国家によるテロであり、戦争犯罪。真のテロ対策とは、こうした国の軍事ビジネスに手を貸すことではなく、廃業させることだ」と結んだ。

 パレスチナ問題に詳しい奈良本英佑・法政大名誉教授は、イスラエルが国際法違反の占領や弾圧を続け、世界有数の軍事・武器輸出国家になったと解説。「歴史的に発展させてきた武器や関連装備について、実戦を通して能力を実証し、各国に売り込んでいる」と指摘した。

 市民団体「反五輪の会」の首藤久美子さんは「軍事技術を安全対策と言い換え、東京五輪を口実に市場がつくり出されている」と訴えた。

 「ISDEF Japan(イスラエル国際防衛・国土安全保障見本市)」は29、30日に開催。軍事エキスポに反対する会は、核兵器廃絶平和都市宣言をし、多文化共生をうたう市の理念に反するとし、同アリーナの使用許可取り消しや出展企業などの情報開示を求めている。インターネットなどで募った署名を近く市に提出予定で、福田市長との面会を併せて求めている。

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