元V川崎・李国秀さんW杯コラム<5>手からこぼれ落ちたベスト8|カナロコ|神奈川新聞ニュース

元V川崎・李国秀さんW杯コラム<5>手からこぼれ落ちたベスト8

李国秀さん

 物議を醸しながら決勝トーナメントまで進み、一夜にして英雄になった監督の無策ぶりがあらわになったゲームだ。ベスト8進出は目前だっただけに、その反動なのか、とても悔しい。

 2点を追い掛けるベルギーは、当たり前のように長身のゴールゲッター、フェライニとチャンスメーカーのシャドリをピッチに送り出した。結果的に、この2人に同点、逆転のゴールを決められてしまう。

 日本は千載一遇のチャンスを生かせなかった。恐らく2点リードのシミュレーションがなかったのだろう。ディフェンスの選手を入れて最終ラインを一人余らせ、中盤も厚くするべきだった。サッカーの監督ならば誰でも知っている常とう手段。なぜ動かなかったのか。

 選手は100%以上の力を出した。原口が持ち味である縦への鋭さで1点目をもぎ取り、乾の世界を驚かせるようなシュートで夢を抱かせた。先に勝ち上がったブラジルとの対戦が頭をよぎったのは私だけだろうか。選手の健闘を生かせなかった愚かな采配と言っていい。

 W杯の舞台は監督の判断をも鈍らせるのか。それとも、国際経験の浅い監督に指揮を執らせたことが問題なのか。大いに議論すべきだ。

 4月の監督交代でゴタゴタした日本代表だが、ここまで健闘するとは誰も思わなかっただろう。大会開始後の戦いで国民を引き付けたが、安直な準備だけではベスト8進出はならなかった。結果と内容を見て、そう言わざるを得ない。1次リーグを突破した選手たちも世界との差を感じたはずだ。チーム内に若い選手がいないことによって、この悔しさを次に生かせるのかという心配もある。

 残念ながら日本代表の戦いは終わったが、ここからがW杯の神髄。引き続き、世界との差を見比べてみませんか。

り・くにひで 読売クラブなどでプロサッカー選手として活躍後、桐蔭学園高やヴェルディ川崎(現東京V)などで指導に当たった。教え子に元日本代表の森岡隆三氏(前J3鳥取監督)、戸田和幸氏(慶大コーチ)をはじめ、J1仙台の渡辺晋監督、横浜Mの中沢佑二ら。厚木市で「エルジェイ・サッカーパーク」を経営。横浜市青葉区在住。

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