登山計画書、提出を 秦野市や県警がキャンペーン|カナロコ|神奈川新聞ニュース

登山計画書、提出を 秦野市や県警がキャンペーン

登山者カードをポストに投函(とうかん)する登山客=秦野市堀山下の県立秦野戸川公園

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 秦野市内から丹沢に向かう登山客は年間80万人とされる一方、昨年1年間で秦野署に提出された登山計画書(登山者カード)は約4万通にとどまった。未提出で遭難した場合、広大な丹沢ゆえ、救助隊は登山ルートが分からず、救助の遅れや死亡につながるケースも。カードの記入は手軽だが、登山者の多くは難しいものだと考え、提出していない実態もあるという。同署や市はキャンペーンを通じて提出を呼び掛けている。

 山ガールに代表される登山ブームで丹沢を訪れる登山客数は増加傾向だ。遭難事故も比例して増えている。同署と市消防本部の合同山岳救助隊の出動件数は37件(2017年)と前年比で9件増。死者も2人で同1人増だった。

 登山者カードは市内の駅前など7カ所にある専用ポストに備え付けてある。名前と連絡先を書き、登山ルートは「大倉」「塔ノ岳」「丹沢山」などと記された地図上をペンでなぞるだけ。記入に5分もかからない。

 「面倒くさいと思って一度も提出したことはなかったが、記入がこんなに簡単とは思わなかった。知っていれば、前から提出していた」とさいたま市の男性会社員(41)。丹沢では毎年、4月から12月まで月に2回、県立秦野ビジターセンター前などでキャンペーンを行い、提出を呼び掛けている。

 ただ、提出は15年4万2918枚、16年4万2634枚、17年4万1787枚と減少傾向。救助隊員の船見幸一巡査部長(46)は「(58人が亡くなった)14年の御嶽山(長野、岐阜県)噴火以降、登山計画書の提出は劇的に増えた。それでも少ない」とし、「個人的な感覚では10人中2人ぐらいしか提出していないのでは」と嘆く。

 同署は毎日、ポストからカードを回収。家族などの通報で遭難が分かると、カードを調べて、登山ルートの周辺に救助隊を出動させる。中島陽平巡査部長(44)は「未提出ならば、遭難しそうな場所をくまなく捜すことになる。その分、時間がかかり、(生存率が大幅に低下するとされる)72時間を過ぎる可能性が高まる」と無念そうに話す。

 神奈川県ではカードの提出は任意だが、提出を義務付けている県もある。御嶽山の噴火などを受け、16年から条例で義務付けを始めた長野県の場合、15年7月から1年間で11万1422件だった提出数は、翌年は18万4678件と約65%も増えた。

 グループの場合、計画書1通で数人が記入するため、45万7860人分に上った。未提出でも罰則はないものの、アンケートでは登山者の7、8割が提出したと答えている。

 丹沢の登山関係者は「神奈川でも条例などで義務化されれば提出率は上がるだろう。ライトや地図を持って山に登るように、カード提出も当然の装備のような存在になってほしい」と願っている。

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