丹沢大山の登山者数計測器 不調で実態把握できず|カナロコ|神奈川新聞ニュース

丹沢大山の登山者数計測器 不調で実態把握できず

大倉尾根に設置されている登山者カウンター

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 入山者の集中で自然環境に悪影響を及ぼすオーバーユース(過剰利用)への対応を検討するため、県自然環境保全センター(厚木市七沢)が設置した登山者数を自動で計測するカウンターが不調で、丹沢大山のオーバーユースの実態を把握できていないことが分かった。登山ブームが続く中、センターは本年度、設置済みの全11カ所を対象に改善を図り、分散登山の呼び掛けなどデータの活用を目指す。

 センターによると、カウンターは太陽光パネルによる自家発電で稼働し、前を通過する登山者を赤外線センサーで自動的に計測する仕組み。

 2008年度から丹沢山域で人気が高い塔ノ岳(秦野市)に向かう大倉尾根、表尾根、鍋割山稜と、大山(伊勢原市)につづく登山道の脇に順次、設置。職員らが巡回して内蔵メモリーを回収してデータを分析、入山者動向を把握するのが目的だった。

 ただ現状は、誤作動が多いなどの課題に直面している。その原因について、センターは(1)雨天時や生い茂る樹木がパネル面を覆って電力が低下し、正しく作動しなくなる(2)草木が風などでセンサー部分にかかり、カウントしてしまう-などが考えられるという。

 センターは精度の高いデータが得られていないことから、設置以来初めて、本年度に全面的な運用改善に着手。年間を通じて日照時間が長い場所に移動したり、機器類を改修したりする予定だ。

 丹沢大山の入山者数は、04~06年度に実施した丹沢大山総合調査で年間約30万人との推計値が示された。登山道の荒廃やごみ・し尿の汚染、周辺植生の踏み荒らしなどオーバーユース問題の顕在化が指摘され、07年度から始まった再生事業で継続的なモニタリング手法としてカウンターが導入された。

 大山、塔ノ岳周辺の登山道は都市近郊で交通の便が良いため、登山者が集中しやすい。入山者の動向把握は分散登山の呼び掛けのほか、効率的な登山道整備や環境配慮型トイレの配置に役立つ資料にもなり、山岳関係者らの注目を集めている。

 センター自然保護課は「休日の入山者が平日の約3倍に上るなどの傾向は、ある程度見いだせた。しかし実測値の公表となると、精度上の課題が残されている。県民に早期に情報提供できるよう、カウンターの運用を改善したい」と説明している。

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