横浜・青葉区で農福連携の試み コメ作り、高齢者も障害者も|カナロコ|神奈川新聞ニュース

横浜・青葉区で農福連携の試み コメ作り、高齢者も障害者も

田植えをする佐々木さん(左から3人目)とプロジェクト参加者=横浜市青葉区

 横浜市青葉区の休耕田で、コメ作りを通じて誰もが利用できる場をつくる「寺家プロジェクト」の活動が始まった。取り組むのは、精神障害者の地域活動支援センターなどを運営するNPO法人都筑ハーベストの会(同市都筑区)。地域の居場所機能に加え、普段はケアを受ける立場の同会利用者が、活動の中で高齢者や引きこもりの人たちを支える新たな「農福連携」の試みにもなっている。

 5月末、青葉区にある約1千5百平方メートルの休耕田で手作業の田植えが行われた。参加者は同会の利用者やスタッフ、その家族ら50人ほど。「苗は3本ずつ持ち、30センチぐらいの深さに植えます」。会を利用する男性(50)が作業方法を教え、全員が一列に並んで苗を植えていく。初めての作業に苦戦しながら、約2時間かけて約1千平方メートル分の田植えを終えると、参加者に笑顔が広がった。

 同会は、学生時代から精神障害者と関わってきた理事長の佐々木秀夫さん(50)が2001年に設立。都筑区で農薬を使わない野菜作りなどを行っている。

 畑作りに携わり、「ほとんど口を開かなかったのに、話をするようになって表情も変わった」利用者が何人もいた。農の力を実感する一方、近年農業と福祉の「農福連携」が注目されることに複雑な思いもあった。「農と福祉の連携は多様。障害者雇用による農業の維持という考えとは異なる連携もある」。それを形にしようと、昨年11月にプロジェクトを立ち上げた。

 佐々木さんが思い描くのは、障害をはじめ困難を抱える人や、高齢者、子ども、近隣住民らが集まって農と触れ合う自由な居場所だ。「誰でも出入りでき、作業に参加しなくても構わない。つながらなくてもいられる場所があってもいい」と考えている。

 そこでは、普段は支援を受ける側の同会の利用者らが、活動を実践することで支え手になる。田植えの“指導役”を務めた男性は、3年ほど同会に通っている。20代半ばから20年近く引きこもり、自暴自棄になった時期もあった。「いるだけで落ち着けて、安心できる環境をつくれたら」と話す。佐々木さんは「心が優しく、ケアする側の役割も向いている人が多い。困っている人を支える立場になってほしい」という。

 現在、プロジェクトは土曜日を中心に活動。今冬からは新たに開所する地域活動支援センターで継続する予定だ。佐々木さんは「福祉現場以外の人にも共感してもらえれば。新しい農福連携のモデルとして広がるといい」と期待を込める。

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