川崎と沖縄の絆たどる 詩人佐藤惣之助の生涯、映画に|カナロコ|神奈川新聞ニュース

川崎と沖縄の絆たどる 詩人佐藤惣之助の生涯、映画に

佐藤 惣之助

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 沖縄出身の映画監督・喜屋武(きゃん)靖さん(55)が、川崎が生んだ詩人で作詞家の佐藤惣之助(1890~1942年)を主人公にした映像作品制作を始めた。大正期に「琉球諸島風物詩集」を著し、川崎と沖縄の絆を培った惣之助の生涯に焦点を当てる。喜屋武さんは「歴史の表舞台から忘れ去られた存在の惣之助を現代によみがえらせたい」と作品の狙いを語る。

 映像作品の仮題は「川崎と沖縄の友好の絆」。1959年5月15日、川崎市民から那覇市に寄贈、除幕された惣之助の詩歌碑をテーマに据える。除幕から60年の節目に当たり、惣之助の命日でもある来年5月15日までの完成を目指す。

 作品「宵夏」が刻まれた詩歌碑は当初は首里城跡に建立されたが、城の復元に伴い92年に観光コースから外れた公園に移設されたままで訪れる人は少ない。碑が忘れ去られないようにと一般財団法人川崎沖縄県人会が昨秋、碑への案内板設置と首里城公園への移設を呼び掛ける募金を始めた。

 麻生区の日本映画学校(現・日本映画大学)出身で川崎に約30年暮らした喜屋武さんは昨年12月、県人会から募金のPR映像制作を頼まれた。国立国会図書館、川崎市立中原図書館などを巡り著作や資料を当たるうちに、惣之助の人物像や業績に引かれ、ドキュメンタリー作品に仕上げたいと思うようになった。

 現在、作品のストーリーを練っている喜屋武さんは惣之助について、「詩人として鍛えた言葉の感度を歌謡曲に生かしたある意味で天才」と評価し、「地元川崎でもあまり知られていない生涯をいま、浮かび上がらせたい」と意気込む。

 調査では、若き日の惣之助が、沖縄学の父とされる伊波(いは)普猷(ふゆう)の「古琉球」(1911年発行)に影響を受け、22年の沖縄への旅で著した「琉球諸島風物詩集」へと結実したことが分かってきた。作詞した楽曲は校歌や商店街の歌などを含めて確認できただけでも約700曲に上り、最終的には千曲に迫りそうだ。

 映像作品は、惣之助を沖縄の観光地を初めて紹介した人物と捉え、観光振興にも結び付ける。短編、長編の2作品を完成させる予定だ。

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