カワウからアユ守れ 日大研究「放流の工夫で食害減」|カナロコ|神奈川新聞ニュース

カワウからアユ守れ 日大研究「放流の工夫で食害減」

「研究成果を生かせられればうれしい」と語る髙井准教授=藤沢市亀井野の日本大学湘南キャンパス

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 カワウによる川魚の食害が全国的に問題になる中、藤沢市亀井野の日本大学生物資源科学部と国立研究開発法人「港湾空港技術研究所」の研究で、繁殖期のカワウが、放流された種苗生産のアユ(種苗アユ)を多く食べていることが分かった。関係者は、放流のやり方次第では被害を低減できる可能性を指摘し、研究成果が漁業資源の保護につながることに期待を寄せている。

 日本在来のカワウは魚食性の大型の水鳥。アユやコイ、フナなどを1日当たり約500グラム食べ、内水面の漁業資源に深刻な影響を及ぼすと考えられている。漁業関係者から駆除を求める声が高まり、2007年には鳥獣保護法施行規則で狩猟鳥に指定された。

 研究グループによると、駆除されたカワウの胃の中からアユが大量に見つかったり、種苗アユの放流場所にカワウが集まっていたりする事例が報告されていたが、捕食されたアユが種苗か、天然かを見分けるのは困難だった。

 そこで、研究グループは魚粉を主原料にしている種苗アユの配合飼料に着目。09年から11年にわたり、静岡県東部の河川流域に生息するカワウの胃の内容物を分析したところ、検出されたアユの約4割に飼料を与えられた種苗アユと同じ元素情報が含まれていた。

 残り6割は不明だが、種苗アユの放流時期と重なる繁殖期のカワウの胃内からアユが多く検出されたことから、繁殖期に種苗アユを大量に捕食していることが推察できるという。

 研究グループの中心となった同学部の高井則之准教授は「飼料の元素情報は、天然アユが川の中で食べる餌の元素情報とは明らかに異なる。そのため、配合飼料を与えられた種苗アユは、天然アユと異なる元素情報を持つ」と解説。天然アユの絶対数が種苗アユよりも少ないとしながらも、「人工物である配合飼料を起点とする食物連鎖が、カワウの繁殖を支え、その個体数増加を促進していると考えられる」と指摘する。

 今後、カワウの個体数を管理して川魚への食害を抑えていく対策について、高井准教授は「例えば、カワウが大量に食べていた事例のある安価のボラなどをアユと混ぜて放流するなどし、アユだけを高密度に放流することを避けることで、食害被害を減らすことができるかもしれない」と分析。アユの栽培漁業との関係性を踏まえ、計画を立てていく必要性を説いている。

 研究成果は日本生態学会の科学誌「エコロジカル・リサーチ」の電子版にも掲載されている。

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