支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 デイサービスの実践<4>|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 デイサービスの実践<4>

「一緒に昼食取る喜び」 家庭の味充実、やりがいにも

昼食を楽しむいきがい型デイサービスの利用者とボランティア。ウナギのかば焼きも入った特別メニュー

 秦野市の広畑ふれあいプラザで行われている「いきがい型デイサービス」では、利用者の大きな楽しみが、ボランティア手作りの昼食とおやつだ。

 ある日の昼食は、ご飯、大根おろし添えメンチカツ、千切りキャベツ、おからのあえ物(コンニャク、シイタケなど)、春雨の酢の物(キュウリ、ニンジン、卵焼きなど)、とき卵のすまし汁(ネギ、ブナシメジ)、漬物、イチゴ、あんにん豆腐など。おやつには、あずき白玉も出る。

 「これで300円なんて信じられない。手作りで心がこもっている」、「1人暮らしなので家ではこんな食事は作れません。栄養も取れます」、「ここでの週1回の昼食が楽しみ」-。利用者が感嘆の声を上げる。

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 高齢者、特に1人暮らし高齢者にとって毎日の食事作りは、経済的にも手間の面でも難題だ。そのため、低栄養に陥る人も多く、介護予防上の大きな問題となっている。

 同サービスでは、ボランティア、利用者とも、1人1回300円の参加費を支払う。毎回計30人前後というスケールメリットを生かし、計9千円前後の予算で多種類の食材を購入し、品数豊富なメニューを実現している。

 主婦経験を積んできた70代の女性が多いボランティアにとって、旬で安い食材を選んだメニュー作りから、商店との交渉、調理まで、腕の見せどころであり、大きなやりがいとなっている。

 暑さが激しさを増していた7月、金曜班では思い切ってウナギのかば焼きを登場させた。「今日は夏バテ防止のため特別メニューです」。金曜班リーダー、藤村冨士雄さん(77)が利用者にメニューを説明すると、大喝采だ。

 会計を担当した野口ヒロ子さん(78)は「こつこつと残金をためて、年に何回か特別メニューも出します。年度末にはもう一回やりたいですね」と笑顔を見せた。

 同デイサービス全体では、週に4日、最大で計約140人分の昼食・おやつを提供している計算。それも驚く低価格だ。

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 ボランティアによる大きな実績は、市にもインパクトを与えている。市高齢介護課では「皆で一緒に食事を取ることの喜びは大きい。昼食も出してくれるサロン活動が市内に広がってほしい。非常に要望があると感じている」と話す。食事付きのサロンには補助金も増額し、振興を図っているという。

 食事の場の提供は、高齢者はもちろん、子ども食堂など、多様なニーズがある。いきがい型デイサービスの食事作りの成果は重要な参考事例だ。

 いきがい型デイサービスについて、地元の地域包括支援センター「大根地域高齢者支援センター」の村田雅樹管理者は「利用するだけでなく、活動する場になっている意義が大きい」。ボランティア側の高齢者にとっても、非常に有効な介護予防の場となっているからだ。

 介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)による住民運営デイサービスの活用は、地域包括ケアシステムの構築に向けて重要な要素となりそうだ。

〈この回おわり。随時掲載します〉

 ◆昼食作り いきがい型デイサービスでの昼食作りでは、衛生面は市高齢介護課の栄養士が指導しているが、メニューはボランティアに一任されている。食材は各班、各回ごとに市内の商店で購入している。広畑ふれあいプラザの調理室は、コンロ3口、オーブン、グリルを備えた調理台が2台。十数人のボランティアが手分けして丁寧に調理を進めている。市が調理室を提供し、水道光熱費を負担していることも、低価格で充実した食事を提供できる一因だ。

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