支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 デイサービスの実践〈1〉|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 デイサービスの実践〈1〉

高齢者が支え、支えられ 「皆と一緒だから」

「いきいき百歳体操」に取り組む木曜日の利用者=秦野市広畑ふれあいプラザ

 介護保険の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)として、秦野市では、「いきがい型デイサービス」が2016年度から行われている。訪問型サービスD(移動支援)と通所型サービスB(住民主体による支援)を組み合わせたデイサービス。全国的にも特色のある事業だ。

 運営するのは住民ボランティア。要支援者、基本チェックリスト該当者(事業対象者)らが週1回、必要に応じて車の送迎を受けて通所し、介護予防に取り組んでいる。住民同士の支え合いによるデイサービスの役割を探る。

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 独自のデイサービスが行われているのは、秦野市の介護予防拠点施設「広畑ふれあいプラザ」(同市下大槻)。月、水、木、金曜の週4日、住民ボランティア団体4グループが、曜日ごとに分担し運営している。

 木曜日の午前10時。80代を中心に、70~90代の男女19人の利用者が、3階の和室に集まった。参加費(昼食、おやつ代など)300円を払い、順番に保健師による血圧などの健康チェックを受ける。

 和室のあちこちでは、利用者同士のおしゃべりに花が咲いていた。「皆さんと会えるのでさみしくない。1人暮らしなので、それが一番です」。86歳の女性が語る。

 全員のチェックが終わると、いすを並べて「いきいき百歳体操」が始まった。19人は、要支援者1人、事業対象者12人、一般6人と、体の状態はさまざまだが、元気に手足を動かした。

 時間は約30分。75歳の女性は「1人ではこんなに長く体操はできない。皆さんと一緒なので、いろんなことが楽しめる」と、晴れやかな顔だ。

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 木曜班のボランティアは男女15人。みな高齢者で、ほとんどが70代だ。

 午前9時に集合し、多くは調理室で昼食の準備に取り掛かる。1人300円、ボランティアを含め34人分、計1万200円の予算内で、全員の昼食と午後のおやつを工夫する。料理自慢の女性たちの腕の見せどころだ。

 この日の昼食は、具たっぷりのカレーライス。昼食づくり以外の人は、話し相手など、利用者の対応に当たる。

 午前のプログラムは、体操に続いて脳活。木曜班ボランティアリーダー野口昌孝さん(74)が苦心して作った9マスの3文字クロスワードパズルに、利用者みなで挑戦した。

 パズルのヒントの一つは「○○○節は昭和20年代流行したお座敷ソング」。皆が顔を合わせる。

 1人が声を上げた。「トンコ」
 
 「トンコ節なんて知らない」

 「知ってる、知ってる」

 若かりしころの思い出話も加わり、場は大盛り上がり。「家に帰って辞書や事典を調べて、翌週に詳しく報告してくれる人もいます」と、野口さんも満足げな様子だ。パズルの他、ナンプレ(数独)や塗り絵など、利用者はそれぞれ気に入ったプログラムに取り組んだ。

 ボランティアと一緒に昼食を食べた後、この日の午後はカラオケ大会。野口さんは「プログラムはバランスを考え、やりたいことをやってもらえるように工夫しています。皆さん来るのを楽しみにしてくれています」と力強く語った。

※肩書や年齢は取材当時のものです。

 ◆広畑ふれあいプラザ 2000年に秦野市立広畑小学校(同市下大槻)の空き教室を改修して開設された同市の介護予防拠点施設。1~4階に事務室、和室、多目的ホール、健康増進室、談話室などがあり、高齢者の健康保持・増進事業、世代間交流事業などが行われている。いきがい型デイサービスは02年度、要介護や要支援ではない高齢者を対象にスタートしたが、16年度に制度の変更が行われた。

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