続く訴訟、混乱する現場 JASRAC、今夏から徴収 「既成事実つくり」反発|カナロコ|神奈川新聞ニュース

続く訴訟、混乱する現場 JASRAC、今夏から徴収 「既成事実つくり」反発

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/06/17 02:00 更新:2018/06/17 02:00
 音楽教室から著作権使用料を徴収する運用が4月1日から始まっている。3月の文化庁長官裁定を受けて日本音楽著作権協会(JASRAC)が開始に踏み切った。徴収権限を巡っては訴訟が続いており、司法判断はまだ出ていない。主張が対立したままの適用開始に音楽教室の現場からは反発の声が上がっている。JASRACは6月1日までの間に十数社と契約を締結しており、最初の徴収は今夏から始まるとみられる。

  文化庁の宮田亮平長官がJASRACの徴収方針を認める裁定を出したのは3月7日。文化審議会の答申に沿った判断で、手続きの上では著作権等管理事業法の規定を満たした形になり、徴収が可能になった。

 運用を進めたいJASRACは同月末、公式サイトなどを持ち生徒を公募している7300の教室に「音楽教室における著作権許諾手続きの開始について」と記した案内文、契約書を送付。2カ月の間に十数社と契約を結んだ。

 横浜市内の事業者は、ヤマハ音楽振興会など音楽教室の事業者でつくる「音楽教育を守る会」に属しているため、守る会の姿勢と同じく契約は司法の判断まで締結を保留する。徴収方法や徴収額の決め方などが記載された使用料規定を目にし「既成事実をつくり裁判を有利に進めたいのだろう」と不信感が募った。

 運用開始後は「著作権が切れている曲で練習をしている」というが、「憧れのアーティストの曲を演奏したい」「結婚式で弾けるように」など生徒の好みにも対応しているため、現場は混乱が広がっている。

 また、係争中でありながら結果的に文化庁が徴収開始を後押しした形になったことにも落胆している。

 「JASRAC側にしてみれば、契約締結がいつであっても使用料徴収の開始時期は2018年4月1日に遡及(そきゅう)できる。なぜ司法判断が確定するまで待てないのか」と憤る。

 著作権料の支払いは、年間受講料収入の2.5%を上限と決める年額制、受講料や生徒数に応じた月額、または曲別の3通りで事業者が選択できる。徴収額は3カ月ごとに事業者が提出する受講料収入報告書を元に決定するため、早ければ今夏までに最初の支払いを迫られる。

 県内で10の施設を運営する事業者は「1回の授業で1曲を通して演奏することはなく、1小節から数小節を反復しながら進行させていくことが多い」という。5分以内の使用は1曲とする取り決めもあり、申請時の判断の複雑さに困惑する。

 これまでは著作権料が発生する譜面をテキストに掲載する際、教本作成時に使用料を支払ってきた。

 しかし、事業者の中には、使用料が発生する曲をテキストから外すなどの動きも見られる。

 守る会担当者は「(テキストから外すということは)結果的に著作権者が(譜面の)使用料を得る機会を失う可能性がある」と話す。

 文化庁は徴収を容認する一方、訴訟が続いていることなどから司法判断によって請求権が認められるまでは個別の督促を行わないようにするなど、JASRACに配慮を求めている。文化庁の指導を受けJASRACは、小規模な教室からの徴収を控えると発表。しかし運用開始後、契約を結んでいない個人の教室が守る会への入会有無を尋ねられたり、未入会の場合は契約を結ぶよう促すケースが出ており、守る会はJASRACの姿勢を疑問視している。JASRAC側の働き掛けの影響からか、守る会への入会を希望する教室も増えているという。
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