〈時代の正体〉川崎の公園に差別落書き ヘイト集会「許可」の影響指摘|カナロコ|神奈川新聞ニュース

〈時代の正体〉川崎の公園に差別落書き ヘイト集会「許可」の影響指摘

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/06/08 06:00 更新:2018/06/08 10:23
【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市は7日、同市高津区の五つの公園・広場のベンチなどで在日コリアンを差別する落書きが見つかった、と発表した。同一の筆跡で「朝鮮人こそレイシスト」「朝鮮人こそ反日ヘイト」などと書かれていた。市は器物損壊容疑で高津署に被害を届け出た。

 市によると、五つの公園・広場は半径約300メートルの範囲にあり、それぞれベンチやあずまやの柱など計11カ所に黒の油性ペンで書かれていた。6日に清掃ボランティアや区職員が一つの公園の木製ベンチ2カ所で落書きを発見。残りは7日、市民の同署への通報を受けて区職員が調査して確認した。市は消去したり、ブルーシートで覆ったりする措置を取った。

 前回清掃活動を行った5月21日には見当たらなかったといい、少なくとも過去3年間、区内で差別落書き事件は起きていなかったという。

 市内では、人種差別の扇動を繰り返す極右活動家・瀬戸弘幸氏が3日に市教育文化会館(川崎区)で講演会の開催を計画。市民団体などは公的施設でのヘイトスピーチを未然防止するガイドラインに沿って会館の使用を不許可にするよう市に求めたが、市は使用を許可した。

 講演会は、ヘイトスピーチによる人権侵害を防ごうと集まった市民約400人の抗議によって講師や参加者が会館前で足止めにされ、瀬戸氏の判断で中止となった。

 会場入りした一部の参加者から「ウジ虫、ゴキブリ、日本から出て行け」というヘイトスピーチが抗議を続ける市民に向けて行われたが、福田紀彦市長は5日の定例会見で、会館使用許可の判断は正しかったとした上で、市民の抗議について「混乱したのは遺憾。実力行使は望ましい姿ではない」との見解を示していた。会見の報道を受け、インターネット上では「抗議ではなく暴動」「抗議した在日団体の言動は反日ヘイト行為」などとヘイトスピーチに抗議した市民を誹謗(ひぼう)中傷する書き込みが相次いでいた。

 見つかった差別落書きには、やはり抗議への「仕返し」を思わせる「朝鮮人は犯罪民族」「被害者のフリに注意」といった中傷や、会館周辺で警備に当たった県警に対する差別を交えた逆恨みと受け取れる「神奈川県警は朝鮮人の犬」といったものもある。市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の三浦知人事務局長は差別落書きについて「市長の判断と発言が招いた結果だ」と指摘。「ヘイト集会を許可した揚げ句、市民の側を『遺憾』と批判したことがレイシストを勇気づけ、差別があおられている。市長の判断と認識の誤りは明らかだ」と断じた。

 市人権・男女共同参画室の担当者は「誰が書いたか分からず、落書きがされたことや背景をどう見ているかについてはコメントできない」と話し、差別落書きを非難すること自体を避けている。

 三浦事務局長によると、川崎区でも市の掲示板に貼られた法務省作成の啓発ポスターで差別落書きが確認されたという。在日コリアンの子どもたちも多く通う小学校のすぐそばで、「ヘイトスピーチ、許さない」というキャッチフレーズに「コリアを」と書き加えられ、「コリアを許さない」と読めるようになっている。

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