支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 老いる団地(中)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 老いる団地(中)

減る担い手 衰える「自助・共助」

高齢者の見守り訪問のため団地内を巡る生活援助員の岩並仰さん=横浜市営ひかりが丘住宅

 約3600人が暮らす横浜市営ひかりが丘住宅(横浜市旭区、2325戸)には市営住宅としての役割から、単身高齢者、障害者、生活保護受給世帯など、支援を必要とする世帯も少なくない。それだけに、見守りなど住民同士の助け合い、互助が自然に行われ、市民団体の先進的な取り組みも行われてきた地域だ。

 しかし、2016年4月段階で48.1%という高齢化の進展は、支える側の力を急速に弱めた。

 民生委員(定員13人)のなり手がなく、一時はゼロになる事態も生じた。支え合いが行われてきた地域でも、高齢化が進行すれば危機に陥ることの典型例で、全国共通の問題だ。地域の支え合いを基盤とする地域包括ケアシステムの根本的な課題を浮き彫りにしている。

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 このような状況に対し、旭区が14、15年度に行ったのが「ひかりが丘住宅における相談・生活支援モデル事業」だった。

 まず14年度に行ったのが、全世帯への個別訪問調査。調査結果(回答率66.2%)によると、入居40年以上が最多で26.3%、入居20年以上が半数以上を占めた。単身世帯も56.5%、障害手帳取得者は10.7%、治療中の病気のある人は66.4%だった。

 ただ、介護保険サービスの利用は10.0%にとどまっていた。「大きなごみを捨てるのが大変」「気楽に行って集まれる場所がほしい」「相談相手がほしい」などの意見も寄せられた。

 特に、単身者773人のうち145人(18.8%)には、家族がいないか、家族と交流がなかった。そのうち、団地内の人をほとんど知らず、団地内に親しく付き合っている人もいないという人が93人、困りごとの相談相手がいない人も43人いた。

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 このような住民一人一人のニーズを把握する、きめ細かい調査から課題が整理された。バスの増便、介護事業者の駐車スペース確保、ごみの分別困難への対応、ごみをまとめて出せる仕組み、ごみ集積所への運搬支援、身近な生活支援の充実、保証人がいない人への支援、精神障害者支援の充実、住民活動の支援、地域資源の連携などだ。

 そして15年度、具体的な対策の中心となったのが、地域への人の投入だった。生活援助員2人を派遣し、相談室(サロン)と見守りを行うことが事業化された。区高齢・障害支援課は「地域の支え合いの担い手の割合が減り、自助、共助(互助)が困難になっている状況があった。公助による見守りが必要と判断した」と語る。

 事業は、同住宅を含む地域を担当する地域包括支援センターである「ひかりが丘地域ケアプラザ」を運営する社会福祉法人「アドベンチスト福祉会」に委託。同会職員の生活援助員2人が同プラザを拠点とし、プラザスタッフと緊密な連携を取りながら活動が始められた。

 ◆市営ひかりが丘住宅における相談・生活支援モデル事業 2014年度は全世帯への個別訪問時に、あんしんカードと外出用のあんしんホイッスルを配布。訪問調査結果については、学識経験者や関係者による事例検討会を10回開催し課題を整理した。15年度に生活援助員による相談室(サロン)と見守り訪問・電話を開始。相談室は団地集会所で週2回開催。見守りは、介護サービスを利用していない高齢者世帯などを対象に、週1回の安否確認電話、月1回の個別訪問を始めた。

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