携帯リサイクル 障害者の就労後押し|カナロコ|神奈川新聞ニュース

携帯リサイクル 障害者の就労後押し

県内で事業実験 企業やNPO、社会福祉法人が協力

リサイクルされる携帯電話の分別法について説明を受ける施設職員=5月、伊勢原市内

 使われなくなった携帯電話のリサイクル(再利用)を通じて障害者が担う地域の仕事を創出する事業実験が、県内の民間企業やNPO、社会福祉法人の連携で始まった。スマートフォンや従来型の携帯電話「ガラケー」を地域から掘り起こし、中古市場への供給や再資源化につなげる構想だ。個人情報管理には県内で開発されたデータ消去技術を活用し、分別作業は障害者の就労支援施設に発注。社会貢献と組み合わせた環境産業を築き、海外展開も目指す。

 伊勢原市の有料老人ホーム「Club+伊勢原」は障害者就労支援施設「クロスワーク伊勢原」を併設する。障害や難病のために企業と雇用契約を結ぶのが難しい人に訓練の場を提供する「就労継続支援B型」事業所だ。

 この施設に5月、使われなくなったガラケー数百台が持ち込まれた。しばらく前は主流だった折り畳み式のものが多い。

 施設利用者が検品・分類した上で、リユース(再使用)が可能なものはデータを消去して内部を掃除し、中古販売に回す。異常が見つかれば分解し、貴金属を含む部品を取り出す。施設は「新しい仕事で工賃が増えれば利用者に還元できる」と期待する。

 民間からは、磁気データ消去技術の開発を手掛けるベンチャー企業「リ・バース」(川崎市川崎区)や、中古携帯電話販売の「携帯市場」(東京)が実験に参加している。電子機器が内蔵する貴金属をリサイクルする“都市鉱山”の課題に着目。循環型経済を目指して創設されたNPO法人「アジア起業家村推進機構」(川崎市川崎区)や、県内で福祉施設を運営する社会福祉法人「伸こう福祉会」(横浜市南区)とともに、事業構想を描いた。

 調査会社のMM総研の集計によると、2017年度のスマホの国内出荷台数は3258万台で、2年連続で過去最高を記録した。ガラケーは500万台を割ったが、「携帯市場」が都内に構える店舗では中古ガラケーの販売も一定の水準を保っており、「シニア層やスマホの情報漏えいを懸念するユーザーの需要はなくなっていない」(粟津浜一社長)という。

 実験は伊勢原のほか、伸こう福祉会が横浜市戸塚区で運営する施設の計2カ所で本格化する予定。働く意欲のある高齢者や地域住民とも協力した事業展開を視野に入れる。アジア起業家村推進機構の牟田口雄彦副理事長は「事業モデルが機能するようになれば、これから少子高齢化で悩む中国などで日本発の環境福祉統合モデルとしての展開も考えたい」と話している。

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