県内漁協、遊漁券値上げ続々 釣り客減で県内漁協資金難|カナロコ|神奈川新聞ニュース

県内漁協、遊漁券値上げ続々 釣り客減で県内漁協資金難

解禁日に向けて毎年行われているアユの試し釣り(酒匂川漁業組合提供)

 河川の漁業権を持つ県内の漁協で、川釣りに必要な遊漁券(遊漁証)の料金を値上げする動きが出ている。2年前に料金を改定した相模川漁業協同組合連合会を皮切りに、酒匂川と早川河川の両漁業協同組合も今年、値上げに踏み切った。6月は各地でアユ釣りが解禁されるが、余暇の多様化や高齢化で釣り客や組合員が減り、各漁協が資金難により苦渋の決断を下さざるを得なくなっている。

 遊漁券は、漁業権が設定されている河川などで漁協に所属していない人が、釣りをする際に購入する必要がある。

 県内の内水面の漁業権は、多摩川、相模川水系、酒匂川水系、早川水系、千歳川水系、芦ノ湖で設定されており、漁業権の免許がある漁協などがそれぞれ遊漁券を発行。釣具店やコンビニ、現場などで売られ、アユ釣り愛好家に最も多く利用されているとみられる。

 県水産課によると遊漁券を巡っては、相模川漁連が2016年に一部を値上げするなど、17年ぶりに新たな料金体系を導入。酒匂川と早川河川の両漁協も今年1月にそれぞれ20年ぶり、21年ぶりに見直した。

 いずれも14年の消費増税の際も据え置いてきたものの、千円程度の「1日券」を数百円、1万円程度の「1年券」(相模川漁連はアユ釣りなどが対象)を数千円値上げした。背景には、遊漁券の売り上げや組合員の賦課金で資金を賄っている漁協の苦しい台所事情がある。

 酒匂川漁協によると、1980年代は年間で4万人ほどの釣り客が訪れていたが、高齢化により従来の愛好家の足が遠のき、新たな客もレジャーの多様化が影響して確保できていない。10年ごろからは、2万人台で推移している。

 昨年1年間の釣り客は2万1千人ほど。同漁協の篠本幸彦組合長(72)は「年間3万人くらい来ると(収支が)とんとん。現状は芳しくない」と、眉間にしわを寄せる。

 組合員の減少も課題だ。約3千人いた1980年代に比べて、現在は半分以下の約1200人。年間で30日以上釣りをすることを加盟の条件としており、高齢のため毎年40~50人が脱退する一方、新規加入は数人にとどまる。同漁協では遊漁券料金の見直しに合わせて、組合員の賦課金も千円プラスした。

 早川河川漁協では、釣り客が増えるよう河川周辺の草刈りやゴミ拾いをしたり、カワウからアユを守るため追い払い策を講じたり、地道な活動を続けるが、「客は減り続けている」とため息をつく。

 水産資源保護のため、稚魚の放流による増殖などが各漁協には義務付けられている。早川河川漁協は放流の資金が足りず、組合員が釣った魚を仲買人に売るなどして得た資金で工面するなど、身を削って運用しているという。

 県水産課によると、他の多摩川、千歳川水系、芦ノ湖の料金は据え置かれているが、担当者は「どこも経営が苦しいが、値上げにより客足が遠のくことを恐れ、なかなか踏み切れないのでは」と推し測る。

 乱獲を防ぐための監視などを担う漁協が立ち行かなくなれば、漁場が荒れる恐れもある一方、釣り客増に向けた公的な補助はないという。酒匂川漁協の篠本組合長は「海の組合に対しては生活が懸かっているため国も支援しているが、川での釣りは趣味の世界で、川の組合を守る制度はない」と話す。

 相模川、酒匂川、早川の3水系ともアユの解禁日は6月1日。釣り歴50年以上という篠本組合長は「釣りざおに魚が『ガツン』と掛かった感触や、自然に囲まれた中での釣りは気持ちいい。ぜひ若い人たちに体験してもらいたい」と呼び掛けている。

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