いずも横浜入港 空母化する護衛艦、揺らぐ専守防衛|カナロコ|神奈川新聞ニュース

いずも横浜入港 空母化する護衛艦、揺らぐ専守防衛

進水した海自護衛艦「いずも」=2013年8月、横浜市磯子区

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 政府が「ヘリコプター搭載型護衛艦」と強調する海上自衛隊最大の艦船「いずも」。全長248メートル、最大幅38メートルで、艦首から艦尾まで甲板が貫く「空母型」だ。国内外で「実質は空母」と指摘され、海外の軍事年鑑でも「ヘリ搭載空母」あるいは「軽空母」に分類されるが、政府はあくまで護衛艦を貫く。

 政府が言葉に神経をとがらせるのは憲法との絡みがある。政府は憲法9条に基づき、攻撃的兵器の保有は自衛のための必要最小限度の範囲を超えるため、▽大陸間弾道ミサイル(ICBM)▽長距離戦略爆撃機▽攻撃型空母-の保有はいかなる場合にも許されないと説明してきた。それだけに、いずもを空母と認めることは、日本が戦後一貫して掲げてきた専守防衛の原則が揺らぐことになる。

 にもかかわらず、防衛省は事実上の空母への改修を視野に調査研究を進める。念頭にあるのは、短距離離陸できる最新鋭ステルス戦闘機「F35B」の艦載だ。政府はF35Bを導入する防衛計画を立てる考え。離着陸のためにいずもの甲板などの改修を検討している。

 軍事評論家の前田哲男さん(79)は「安倍政権は『多用途型防衛空母』や『多用途運用母艦』というよく分からない用語を持ち出し、(改修後も)保有可能と認識している。だが、空母そのものは浮かぶ空軍基地。戦闘機を載せれば専守防衛の枠ではとても説明できない」と批判する。

 では、政府はなぜ空母化を図るのか。前田さんは日米同盟の深化を指摘する。

 集団的自衛権の行使容認などを柱とした安全保障関連法が施行されたことで、日米は不測の事態を想定した共同作戦計画づくりを進める。中国が空母を保有して外洋に出ようとする中、米軍は海自と中国の動きに対抗するため、南シナ海や東シナ海で共同巡航訓練などを頻繁に行っている。

 改修後のいずもは、米軍機の給油や整備などの後方支援が可能になるだけでなく、米海兵隊が運用するF35Bも離着艦できるようになると見込まれる。

 周辺事態法を改正した重要影響事態法により、後方支援が可能な地域の制約は事実上なくなった。昨年5月に自衛隊として初めて安全保障関連法に基づき米艦を守る「武器等防護」を実施した際には、いずもを投入した。いずもは「日米防衛協力と、日本の防衛力を象徴する艦船」(政府関係者)と位置付けられており、前田さんは「日米にいずもの共同運用を進めたいという積極的な意図があるのは明らか」と分析する。

 拠点とする海自横須賀基地でなく、国内屈指の貿易港で東日本随一のクルーズ港でもある横浜港で、しかも多くの観光客が集い同港のシンボル的な大さん橋で一般公開する-。前田さんはそこに政治的意図を感じ、「日米による共同運用への高揚感がよく表れている。海自と米軍との一体化をソフトな形で見せ、海自の存在感を誇示しようと考えたのだろう」と指弾し、横浜への影響を懸念する。「大さん橋のブランドにも影を落とすようなことになりかねない」

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