支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 福祉村の実践(7)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 福祉村の実践(7)

「総合事業」転換で事業費拡大 地域差も浮き彫りに

平塚市の横内地区町内福祉村の常設サロンで将棋を楽しむ高齢者。近所の公園で遊んでいた小学生2人組も立ち寄り、お菓子をもらって対局を観戦

 平塚市の「町内福祉村」は、1999年に第1号の「松原地区町内福祉村」が開設されて以来、市の独自事業として行われてきた。ところが、2016年度から介護保険の事業に位置付けられたことで、活動内容は変わらないものの、財源構成が大きく変わった。結果的に、市負担額の減少と総事業費の拡大が実現することになった。

 市の事業だった15年度、市の負担額は約3134万円。これに国の生活困窮者支援関係の単発補助400万円が加わり、総事業費は計約3534万円だった。

 これに対し16年度には、町内福祉村のサロンや生活支援の活動などが、介護保険の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)などに位置付けられた。これによって財源は、国、県、市、介護保険料から一定の割合で支出されることになった。

 16年度の総事業費は前年度比約17%増の約4126万円。介護保険の市負担分は約638万円、市独自の交付金が172万円で、市の総負担額は約810万円。実に前年比約74%、約2324万の減少となった。

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 そして17年度の総事業費は、前年度比約11%増の約4576万円。介護保険の市負担分は約701万円、国の補助は約1401万円、県の補助が約700万円、介護保険料から約1542万円。市交付金約232万円を合わせ、市総負担額は前年度比約15%増の約933万円。それでも15年度に比べ、約2201万円も少ない。厳しい財政事情の中、平塚市民にとっては大きなメリットとなった。

 ただ、市福祉総務課地域福祉担当の又村あおい主管は「総合事業や生活支援体制整備事業の目指す方向性を本市で具現化するに当たり、町内福祉村の取り組みを一部活用することが最も実現可能性を高めるとの認識の下、運営経費も含めて現在のスタイルへ転換してきた。財政的なメリットは『結果論』と考えている」と説明する。

 このように、平塚市の町内福祉村の取り組みは、総合事業の実施によって財政面から強い追い風を受けた。ただし、町内福祉村が介護保険制度に組み込まれ、財源も市のほか、国、県、介護保険料からも支出されることになったことで、これまで抱えてきた課題があらためて浮き彫りになったのも事実だ。

 それは、「町内福祉村構想」(1995年)が打ち出されてから22年、第1号の町内福祉村が誕生してから18年が過ぎたにもかかわらず、市内25地区(公民館区)のうち、約3分の1にあたる8地区で、まだ町内福祉村が開設されていないことだ。
 町内福祉村のある地区と、ない地区で、市内の介護保険の体制も二元化することになってしまった。そして、それは何より、地域での支え合い、総合事業の本質的な難しさを浮き彫りにしている。

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