支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 福祉村の実践(3)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 福祉村の実践(3)

生活支援は住民力で 利用者歓迎、先例に

元酒店を借りて拠点とした横内地区町内福祉村=平塚市横内

 平塚市の横内地区「町内福祉村」では2016年度、1人暮らしの高齢者ら男女10人に、ごみ出しなど計499件の生活支援を行った。地域の支え合いとして、利用料は取らない。ボランティアも無償だ。

 利用者のうち83歳の1人暮らしの女性は、同市で初めて介護保険の介護予防・日常生活支援事業(総合事業)の「訪問型サービスB」(住民主体による支援)を活用した。

 女性には視覚障害があり、「要支援2」の認定を受けている。機器の操作ができず風呂に入れない、郵便物の仕分けができないなどで困っていた。当初は訪問介護事業所のヘルパーを利用していたが、経済的理由やサービス内容の限界などから、止めざるを得なくなった。

 そこで、ケアマネジメントを行っていた地域包括支援センター「サンレジデンス湘南」(同市田村)が福祉村に相談し、サービスBの枠組みでの支援が決まったという。「福祉村さんが柔軟に対応してくれました」と、松田容代センター長が語る。

 2016年9月、最初は週1回の利用でスタート。「風呂のガスの点火ができないので、点火した後、郵便物を見ました。チラシの中に、市からの福祉給付金の通知が交ざっていたりして、仕分けして説明してあげました」と、同村生活支援部会の直井義夫部会長。「その後、風呂が週1回ではかわいそうなので、週2回に増やし、月に1回は資源ごみのごみ出しもしました」

 ことし2月まで計63回支援した。現在は女性の体調の悪化で休止中だが、松田さんは「本人も気に入っているので、体調が安定すれば再開したい」と語る。

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 訪問型サービスBは、要支援者らを対象にした多様なサービスの一つ。専門職の不足、財政難が進む中で、生活支援に住民の力を活用する制度だ。

 平塚市は、利用者負担はなし、1回の訪問につき福祉村に活動費として2千円(年額上限20万円)を交付するという形で具体化した。ボランティア個人に報酬が出るわけではないので「他の生活支援と全く変わりない活動でした」と直井さん。

 「お隣さん」である福祉村のボランティアにできることは限られている。回数の上限も厳しい。ただ、松田さんは「顔見知りの人が手伝ってくれるので、介護保険の利用は嫌だという人にも抵抗感が少ない。早朝のごみ出しなど、ヘルパーに頼みにくい支援もできます」と、福祉村によるサービスBのメリットを指摘する。「本年度からは他のサービスとの併用も可能になったので、福祉村の特性を理解すれば、活用はプランニング次第です」と語る。

 17年度からは、69歳で要支援2の1人暮らし男性についても利用を始めた。同村に週1回のごみ出しをしてもらっている。

 直井さんも手応えを感じている。「役に立てて良かった。ヘルパーと競合しないようにしながら積極的に対応したい。松田さんには、まだ余力はあると伝えています」

 ◆生活支援 横内地区町内福祉村が2016年度に行った生活支援499件の内容は、ごみ出しを中心に、買い物、声掛け、書類の整理、植木の整理、ベランダの目隠し取り付け、ドア修理、換気扇掃除、窓ガラスの掃除、忘れ物の対応、自転車の空気入れ、蛍光灯の交換、草取り、病院への送迎など。利用者の状況を検討した上、多彩な支援が行われた。生活支援などの福祉村の独自活動には市から最大年間12万8千円の交付金などが出ている。

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