支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 福祉村の実践(2) |カナロコ|神奈川新聞ニュース

支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 福祉村の実践(2) 

認知症患者も立ち寄る 「広場」参加者、住民数を超え

1階のふれあいサロンでカラオケを楽しむ利用者とボランティア=平塚市の横内地区町内福祉村

 平塚市の横内地区「町内福祉村」(横内スマイル広場)は2014年2月、市内14カ所目の町内福祉村として開設された。

 この時期になった理由について、初代「村長」(運営協議会会長)の小宮覬一さん(77)は「地域の特徴で『俺が、俺が』という人がいなかった」と語る。ただ、そうした地域特性から、開設後は自治会役員ら地域住民がボランティアとして幅広く参加し、多彩な支え合いの活動を行える結果にもなった。

 拠点には元酒店の2階建て店舗兼住宅を借りた。約20人がくつろげる1階店舗部分は、ふれあいサロンとし、火曜日から土曜日までの午前10時から午後4時までオープン。コーディネーターが常駐し相談業務に応じるほか、地域の居場所として、子どもから高齢者まで多い日は40~50人が気軽に立ち寄り時間を過ごす。

 ボランティアや友人と、お茶を飲みながらおしゃべりをしたり、カラオケ、将棋などを楽しんでいる様子が通りから見え、すっかり地域に溶け込んでいる。

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 また、地域の1人暮らし高齢者や障害者のため、ボランティアがごみ出しや病院への送迎、買い物、安否確認などを行う生活支援も展開。小学生らへの学習支援(宿題教室)も週1回開き、毎回40~50人の児童が集う。社交ダンス教室、野菜農園、ハイキング、男の料理教室、春祭り・秋祭りの開催のほか、湘南ひらつか七夕まつりへの七夕飾りも製作する。11カ国の外国籍県民が暮らす県営横内団体が真正面にあることから、多国籍文化交流も行っている。

 2016年度はコーディネーター9人のほか、サロンを運営するふれあい交流部会55人、生活支援部会19人、子ども支援部会18人など、約100人のボランティアが運営に携わった。サロン利用者は延べ4698人。生活支援は利用者10人に対し499件、学習支援では延べ1603人の子どもが勉強を教わった。活動の参加者は延べ8890人で住民数を上回る規模だ。

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 ふれあい広場は重要な認知症見守りの拠点にもなった。「認知症の人が9人ほど来てくれています」と小宮さん。ある1人暮らしの認知症の女性は介護拒否が激しいが、ふれあいサロンは気に入り、ふらっと1人でやってくる。
 トイレの問題があるため、当初は紙おむつを敷いたいすに誘導し座ってもらうことを考えた。しかし、「嫌な思いをさせてはいけないと考え、全てのいすのクッションを紙おむつ製にしました」。この2年ほど、週に数回サロンに顔を出すうちにデイサービスも利用するようになったという。

 そして、同村が試金石になったのが、生活支援のうち1人を介護保険の総合事業の訪問型サービスB(住民主体による支援)として行ったことだ。

 ◆町内福祉村の組織 町内福祉村は、地域住民が自主的、主体的に参加するボランティア団体。活動の中核となるのは地域福祉コーディネーターで、常設拠点に最低1人常駐して地域住民からの相談を受け、ボランティアに援助活動を依頼したり、内容によっては地域包括支援センターや行政につなぐ役割を果たす。登録ボランティアの派遣を調整するボランティアコーディネーターも置かれる。運営の統括や意思決定は運営協議会などを設け行っている。

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