大型客船3隻おもてなし奔走 GW初日に横浜港|カナロコ|神奈川新聞ニュース

大型客船3隻おもてなし奔走 GW初日に横浜港

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2018/05/21 15:32 更新:2018/05/21 15:32
 ゴールデンウイーク(GW)初日にあたる4月28日、大型客船3隻が国内や海外を巡るクルーズに横浜港から出港した。3カ所のふ頭で外国客船が同時着岸したことや、合わせて9千人近くに及ぶ乗客を一度に扱ったことは横浜港では前例がない。想定外の事態にも見舞われたが、うち2隻をチャーターした阪急交通社(大阪市)は全社を挙げて乗客を誘導したことで快適な船旅が実現した。

 初入港となる超大型客船を含む大型客船の2隻同時チャーターは国内の旅行業界で初という試み。GW期間中の9日間の日程で本格的な船旅が楽しめることから3世代家族や老夫婦、1人客など幅広い乗客が首都圏を中心に全国から集まり、いずれも満室となる合計約6300人が乗船した。全体の7割近くがクルーズが初めてだったという。

 同社がチャーターした「ノルウェージャン・ジュエル」(9万3502トン)は山下ふ頭(横浜市中区)に着岸。初入港となった超大型客船「MSCスプレンディダ」(13万7936トン)は横浜ベイブリッジがくぐれず、大黒ふ頭(同市鶴見区)に停泊した。

 2隻の乗客の集合場所は、山下ふ頭の山下公園側入口前。みなとみらい線元町中華街駅から公園まで社員約50人がプラカードを手に案内に立った。スプレンディダは春色クルーズの「ピンク」、ジュエルは夏色クルーズの「青」で色分けし、それぞれの集合場所を分かりやすく示した。

 「労力を惜しまず社員が案内に立った結果、乗り間違えや荷物の取り違えを防ぐことができた」。同社でクルーズを担当する東日本営業本部の平藤実課長は胸を張った。JR鶴見駅や横浜シティ・エア・ターミナル(YCAT)などの候補から、便利な山下ふ頭を選んだという。

 広いふ頭を臨時バスターミナルとして活用し、大黒ふ頭間のシャトルバスとして横浜市営バス25台を投入。大黒へは国道357号の横浜ベイブリッジ区間を利用することで市街地の渋滞を避けて時間通りに運行できるメリットもあった。

 乗客を岸壁で待たせないため、チェックインからCIQ(税関、出入国管理、検疫)手続きの流れは横浜市港湾局や関係機関などと綿密に打ち合わせた。それでも待ち時間が出た際は、お年寄りや乳幼児を連れた母親らに座席に誘導する配慮も現場の判断で行ったという。

 「お船の中でいっぱい遊びたい」。祖父母や母親の4人でジュエルに乗船した女児(5)=千葉県市原市=は山下ふ頭の岸壁で笑顔が絶えなかった。平藤課長は「当社は大型客船チャーターのパイオニア。横浜港を拠点にしてきたが、大黒ふ頭で建設中のCIQ施設のこけら落としを初入港船で行うなど、全てが初めて尽くし。何が何でも乗客に喜んでもらうために全社を挙げて全力で取り組んだ」と振り返る。

 それでも不測の事態に見舞われた。スプレンディダは前港の中国・上海で出港が遅れ、横浜港には予定より6時間遅れの27日午後1時に入港。28日は午前の下船手続きが遅れ、午後の乗船手続きに影響が出始めた。シャトルバスを一時止めるなど判断が奏功した。市港湾局の林総・客船事業推進課長は「阪急交通社の対応が素晴らしく、全てがスムーズで時間通りに手続きを終えた。同社のおかげで合格点だ」と評価した。

 欧州を拠点とするスプレンディダの運航会社MSCクルーズを日本市場に誘致するなど、今回のチャーターで活躍した平藤課長は「多様化する旅行ニーズのなかで、クルーズを選んでくれる人たちを増やしていきたい」と期待を込めた。

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