車いす盗難被害から再起 大船駅周辺でバリアフリー調査|カナロコ|神奈川新聞ニュース

車いす盗難被害から再起 大船駅周辺でバリアフリー調査

松本彩さん(左)らと、車いすで利用しづらい歩道をチェックする宍戸さん=JR大船駅周辺

 車いすを盗まれ、被害を知った全国の人から車いすを贈られた宍戸かつ子さん(62)=横浜市泉区=が、盗難被害後に断念していた観光地のバリアフリー調査を再開した。7カ月ぶりの調査の対象は、障害者が仮装パレードに初めて参加する20日開催の「大船まつり」のコース。「障害を理由に諦めるのではなく、挑戦する背中を押すことができる情報を発信したい」。善意を寄せてくれた全国の人々のためにも、新たな“相棒”とともに駆け回る、宍戸さんの日常が再スタートした。

 「このトイレの広さなら車いすでも使いやすい」「地面のひび割れや側溝のふたがあるから(車いすの車輪が)引っ掛からないように注意だね」

 雨の8日。カッパ姿で黄色の車いすに乗る宍戸さんは、JR大船駅周辺にいた。理事を務めるNPO法人湘南バリアフリーツアーセンター(鎌倉市雪ノ下)のメンバー2人とともに、パレードのコースを車いす利用者の目線で約1時間、じっくりとチェックした。新たな相棒との初めての調査。「安定感はばっちり。躊躇(ちゅうちょ)なく坂も下れる」。宍戸さんの笑顔もはじける。

 障害者向けの観光情報を発信するセンターは2016年5月から、市内を中心に、湘南地域の観光地を100カ所以上巡り、道路の安全性や、トイレ、駅の券売機の使い心地などを調べ、車いすに乗る観光客へのアドバイスにつなげている。「坂道が多く、客で混雑もしていて、鎌倉観光を諦めてしまう障害者は多い」。以前の自分の姿を重ねる宍戸さん。「楽しめる場所があると伝われば、挑戦の選択肢は広がるはず」。そんな思いから、奔走してきた。

 車いすが盗まれたのは昨年10月のこと。「生活の足を返して」-。会員制交流サイト(SNS)の投稿が拡散され、全国から約40万円が集まった。新たな車いすとの生活が始まって1カ月、満を持して調査を再開した。

 そして、改めて思う。「例えば行きたい場所に『行きたい』と気軽に言えること、仲間とわいわいと話しながら楽しめる場所があること…。どんな人にとっても当たり前のことであってほしい」。だからこそ、障害者に必要な情報を自らの足で確認する。「これからも相棒と一緒に調査を続けたい」

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