「真鶴カキ」着々成長 商社設立、地域振興狙い 県内初の生食用|カナロコ|神奈川新聞ニュース

「真鶴カキ」着々成長 商社設立、地域振興狙い 県内初の生食用

試験養殖で順調な成育が確認されたカキ(真鶴町提供)

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 町の新たな産業創出を目指し、真鶴町が取り組む試験養殖のカキが順調に成育している。稚貝の投入から2年半程度で、出荷可能なサイズまで成長。「真鶴ブランド」の生食用カキの実現へ、手応えを得た町は2018年度から、販売を担う地域商社の設立など、本格的な事業展開に向けた体制づくりに着手する。

 試験養殖は、15年12月にスタート。毎年、イワガキ6千個分の稚貝が付いたホタテの貝殻を真鶴沖に投入してきた。

 定期的に引き揚げ、貝殻に付着したごみを除去するとともに成育状況を確認。15センチほどに育っているという。また水質や海中のプランクトンの量を検査するなどし、事業化の可能性を検証している。

 町が採用した垂下式という養殖方法は、海面と平行に設置した幹となるロープに、等間隔で稚貝付き貝殻を取り付けたロープをつるす。「全国でも珍しい完全な外洋での養殖」(町産業観光課)だが、高潮や高波被害をもたらした昨年10月の台風21号襲来時も、幹のロープを海面下に沈めることで大きな被害はなく、事業化に前進したという。

 県内33市町村で唯一、過疎法に基づく過疎地域の指定を受ける町が、カキ養殖による活性化を目指したのは、先駆的な自治体への視察がきっかけ。宇賀一章町長が14年に、「春香」ブランドのイワガキ養殖で知られ、地域再生モデルとして注目される島根県海士町を訪問したのを契機に本格的に動きだした。

 さまざまな課題をクリアし、真鶴町には「いつ食べられるのか」という期待の声が寄せられているが、試験養殖したカキは出荷せず、「真鶴ブランドの価値を高めるため」(同)初出荷は21年4~6月ごろになる予定。同課は「(管理委託契約を結んでいる海士町の)養殖業者から、もっと大きく、実入りを良くする作り方の指導を受け、事業化を進める」という。

 初出荷に向け、18年度は10万個以上の稚貝を投入。紫外線滅菌など必要な加工施設や販売する地域商社の設立準備費、漁業者の養殖設備購入補助費も町予算に盛り込んだ。今後は返済時に国が7割を肩代わりする過疎債を事業に活用することも検討するという。

 同課担当者は「生食用二枚貝の出荷は県内初。慎重に安全第一を心掛けて進めたい」としつつ、「真鶴ブランドのカキを食べに、大勢の人に町に来てもらい、雇用の促進や観光振興につなげたい」と意気込んでいる。

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