利用者開拓で高評価 海老名「ツタヤ図書館」第三者評価|カナロコ|神奈川新聞ニュース

利用者開拓で高評価 海老名「ツタヤ図書館」第三者評価

リニューアルオープンして2年半が経過した海老名市立中央図書館=同市めぐみ町

 海老名市立中央図書館(同市めぐみ町)がリニューアルオープンして2年半がたった。市が指定管理者に運営を委任、初めて第三者評価を実施した結果が3月にまとまった。「図書館改革のモデル」「ツタヤ図書館」と呼ばれて話題を集めたが、市民の評価は割れたままだ。注目された客観的評価は5段階で大半が4点台となり「従来にない利用者層を開拓」など高い達成度が示された。

 市企画財政課によると、指定管理者に対する第三者評価は2017年度に業界大手の総合システム研究所(東京都港区)に委託する形で実施。業務日報や利用者アンケートを確認し、従業員のヒアリングなどを行い、18年3月に報告書を作成した。

 第三者評価の対象に中央図書館・有馬図書館の指定管理者になっているレンタルソフト店大手「TSUTAYA(ツタヤ)」を経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と図書館流通センター(TRC)の共同事業体も選ばれた。

大半が4点台に


 評価の大項目として(1)法令順守などに関する事項(2)図書館のあり方に関する考え方(3)施設維持管理業務(4)運営業務(5)収支予算と指定管理料-を設定。109の小項目にポイントを付け、達成度を数値化した。

 達成度指数の基準は5段階で評価。最高の4・5~5・0は「極めて高いレベルで提案事項(協定による仕様書など)を履行」、最低の2・9以下は「履行できていない」。定性的評価はコメントとして添えられた。

 大項目の結果は(1)が4・3、(2)が4・6、(3)が4・1、(4)が3・9、(5)が4・0-。全体講評で「各構成団体の実績と経験に基づき、読書環境の整備や自主事業の開催など、高いレベルで市の要求する業務水準を満たしている」などと総括した。

 しかし一方で「日々の図書館業務については構成団体個々で行われており、共同事業体としてのメリットが希薄。(車イス利用者への配慮など)ユニバーサルデザインの見直しが期待される」などの課題を指摘した。

 小項目は高い順にA~Dの4段階で評価。Aが最多を占めているが、Dは施設維持管理業務で2項目、運営業務で4項目あった。

 評価を下げたのは「中央図書館は司書有資格者率(49%)がやや安定性に欠ける。独自のライフスタイル分類の概念習得や体系的な研修が実施されていない」「海老名市に精通したスタッフが在席していない」「ユニバーサルデザインは導入されている点もあるが、積極的に改善することが期待される」などとした。

 報告書からは運営面で中央図書館がCCC、有馬図書館がTRCと、それぞれ司書の配置や職員研修などを主に行っている実態も明らかになった。

指定の更新期に


 同市は自治法改正の03年以降、指定管理者制度を積極的に導入。同制度は一般に民間のノウハウを生かしてコスト削減やサービス向上が図られる半面、利益優先による労働環境の悪化などが懸念されている。

 海老名市立中央図書館では老朽化対応を検討する過程で、CCCとTRCの共同事業体を指定管理者に選定し、期間は14年度から5年間とした。15年10月のリニューアルオープン時、年中無休や明るい雰囲気の館内デザイン、書店・カフェ併設が全国的に話題を集めた。

 当初「不適正図書」の混入が判明したり、独自のライフスタイル分類が「分かりづらい」などの苦情も寄せられた。新規参入したCCCの適格性が疑問視され、共同事業体間で不協和音も聞かれ、内野優市長は改善を約束した。

 18年度は指定期間の最終年度を迎え、更新作業が行われる。“知の拠点”としての公立図書館のあり方に市議会や市民の間で論争が起こる中、専門家による第三者評価の実施が求められていた。

 伊藤文康教育長は「自分の評価ではリニューアルオープン1年目が70点だった。来館者は以降も増えており、現状は85点。第三者評価はそれを上回る結果と受け止めている。配架についても従来の十進分類法に戻すことも考えたが、苦情件数は減っている」と話している。

来館者70万人台で大幅増


 海老名市教育委員会学び支援課によると、中央図書館の来館者は2015年度(15年10月~16年3月)33万6686人、16年度70万5824人、17年度(17年4月~18年1月)60万9772人。リニューアル前に比べて来館者は約1・7倍、貸し出し冊数が約1・4倍に増えた。

 指定管理者は利用者のニーズを把握するため、アンケートを毎年度実施して公表している。17年度の満足度は78・2%で前年度の78・9%と高水準を維持。年中無休、延長した開館時間(9時~21時)、館内の居心地などの評価項目が依然高い。

 県央地域のターミナル駅、海老名駅近隣に立地するため、市外からの利用者が多いのも特徴。同課は「駅周辺開発が本格化しており、来館者の増加はしばらく続きそうだ」と話している。

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