〈時代の正体〉「朝鮮学校は地域の財産」川崎朝鮮初級学校で地域住民と交流|カナロコ|神奈川新聞ニュース

〈時代の正体〉「朝鮮学校は地域の財産」川崎朝鮮初級学校で地域住民と交流

地域住民との試合でシュートを決める朝鮮学校の女子児童=川崎朝鮮初級学校

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市川崎区桜本の川崎朝鮮初級学校と地域住民との交流会が15日、同校で開かれた。小学校の高学年に当たる児童や教員らとドッジボール、バスケットボールで汗を流し、七輪(しちりん)を囲んで焼き肉を食べながら、「地域に朝鮮学校がある尊さ」を確かめ合った。

 地域とのつながりのきっかけに、と若手の教員や保護者が発案し、地域で多文化交流施設「市ふれあい館」や障害者、高齢者施設の運営を手掛ける社会福祉法人青丘社に持ちかけた。地域住民である青丘社の職員と日本の学校に通う子どもたちも参加。体育館に歓声が響き、校庭脇でほおばる焼き肉に「朝鮮の言葉でおいしいってどう言うの」「マシッソヨだよ」と子ども同士の会話も弾んだ。

 バスケットボールでは、バスケ部を中心にした女子児童チームが男子チームと地域住民チームを破って“優勝”。「楽しかった」とはじける笑顔に李(リ)靖華(ジョンファ)先生(25)は「『いっぱいシュートが入ったよ』『また試合がしたい』と、子どもたちが喜んでいたのが何よりよかった」と目を細めた。

 バスケ部の顧問でもある李先生は一方で子どもたちが夢中でボールを追ったわけをこう説明する。

 「年々児童数が減って、いまの部員は5人。試合形式の練習ができない状況なので、なおさらうれしかったのだと思う」

 拉致問題などを理由に外国人学校のうち朝鮮学校だけが高校無償化制度から除外され、子どもたちに支給されてきた県の補助金も2016年度に打ち切られた。教育の場に政治が持ち込まれるという差別政策により、朝鮮半島にルーツを持つ子どもの学ぶ権利が侵害されている。同校の今春の新入生は1人。政府、自治体という公による排除が学校運営に影を落とし、補助がないために増している保護者の経済的負担が70年以上の歴史を持つ学校の存続をも危うくしている。

 子どもたちが下校した後も七輪を囲んでの歓談は続いた。教員の数も十分とはいえない中、「家と学校を往復するだけの毎日で、地域の人たちと話をする機会がなかなか持てなかった」と李先生。

 姜(カン)珠淑(ジュスク)校長はそんな若い先生たちから「自ら発信しようと交流会の話が持ち上がり、うれしかった」という。

 あいさつに立つと「朝鮮学校に通うことが当たり前ではない状況にあって、地域の人たちと焼き肉を食べた、スポーツをして触れ合ったという、小さくても一つ一つの思い出の積み重ねが、子どもたちには大切。それにはまず大人たちが交流すること。二回、三回と続けていきたい」と話した。

 市ふれあい館職員の遠原輝さん(28)は「多様性を象徴する朝鮮学校は地域の財産。交流を重ね、地域に共に生き、地域社会をつくる人間として、朝鮮学校を守っていきたい」との思いを強くする。同館副館長の崔(チェ)江以子(カンイヂャ)さん(44)も約束した。

 「朝鮮学校でうれしいことがあれば地域の私たちもうれしいし、つらい目に遭えば地域として怒る。子どもたちが朝鮮学校に通ってよかったと思える地域社会を一緒につくっていく。きょうがそのスタート」


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