湯河原で企画展 享年70歳 平塚の現代作家・倉橋元治さん 26日まで|カナロコ|神奈川新聞ニュース

湯河原で企画展 享年70歳 平塚の現代作家・倉橋元治さん 26日まで

町立湯河原美術館で開催中の倉橋元治さんの企画展=湯河原町宮上

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 林業を営む傍ら創作活動に励み、ことし1月に70歳で亡くなった平塚市の現代作家、倉橋元治さんの企画展が湯河原町立湯河原美術館(同町宮上)で開かれている。「余命数カ月」と医師に告げられた約2年前から準備を進めてきた夫に、妻の伍代(いつよ)さん(76)は、木々との触れ合いから生命の力強さを覚えていたのではないか、と感じている。「見たまま感じたままに楽しんでもらえたら」と伍代さんが語る企画展は26日まで。 
 企画展は「倉橋元治-土と祠(ほこら)展」。倉橋さんの「原点を見つめ直し、社会を見つめ人間の持っている根源とは何か? 少しでも感じて下されば」などというメッセージとともに、平塚市内の土や木材を使った作品約10点が展示されている。

 伍代さんらによると、倉橋さんは20代から林業に従事しながら、木材を使った彫刻作品を制作。日々の仕事やニュースから感じたことを表現し、イスラエルで個展を開いたり公募展で大賞を受賞したりと実績を重ねてきた。

 病気が分かったのは、2013年春。以降も作品づくりにいそしんでいたが、体調は徐々に悪化し、同館から企画展の開催依頼があった16年春には「医師からあと数カ月の命と言われた」という。

 一度は固辞したものの、作家仲間らから背中を押され、朝から晩まで工房にこもり、作業に没頭。伍代さんは「作品づくりにむしろ元気をもらっているようだった」と振り返り、「最期の個展になると感じていたと思います」。約1年半かけて完成させた作品は集大成とも言える。

 何を表現しているのか尋ねても「想像してくれ」と明かさず、「今回も作品の意図は分からない」と話していた。ただ、林業についてはこう語っていたという。「木は枝を落とさなければ新しい芽が出ない。単に切っているのではなく、次の命のためにやっている」。そんな言葉が伍代さんの耳に残る。

 企画展を見ることなく、倉橋さんは亡くなった。伍代さんは「作品制作でも生命の力強さについて意識していたと思う。作品を見て何かを感じ取ってくれたら」と話している。

 午前9時~午後4時半(入館は同4時まで)。高校生以上600円など。問い合わせは、同館電話0465(63)7788。

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