息をのむ美しい映像 【長江 愛の詩(うた)】|カナロコ|神奈川新聞ニュース

息をのむ美しい映像 【長江 愛の詩(うた)】

 ストーリーは抽象的で難解だが、スクリーンに映る斬新なアングルや色彩の美しさに息をのんだ。

 主人公のガオ・チュン(チン・ハオ)は、2カ月前に死去した父親の後を継ぎ、古めかしい貨物船「広徳号」の船長となる。ある日、双眼鏡越しに運命の女性となるアン・ルー(シン・ジーレイ)を見つけ、船を進める先々で彼女と出会う。

 物語の舞台は、長江。ガオは父親が20年前に創作した詩集「長江図」を船内で発見する。不思議なことにアンを見つける場所は、すべて「長江図」の中に登場する地名ばかりだ。

 上海から出発し、長江の源流へと向かう幻想的なガオの旅。近代化された都市を背に、ガオは船で荷物を運びながら、アンの姿を探してひたすら流れをさかのぼる。途中、未開発の農村などの景色も広がり、新旧が入り交じった中国の壮大さが描かれる。

 世界最大の水力発電ダム「三峡ダム」に到達すると、ガオはアンの姿を突然見失う。急速な経済発展で消えゆく中国の原風景。ラブストーリーを軸に、失われつつある“価値”に警鐘を鳴らす。

 トラン・アン・ユン監督の「ノルウェイの森」(2010年)などで知られる台湾出身のリー・ピンビンが撮影監督を務めた。本作で「第66回ベルリン国際映画祭」の銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞した。

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