受け皿、行政が役割を 札幌火災1カ月 問われる生活困窮者住宅|カナロコ|神奈川新聞ニュース

受け皿、行政が役割を 札幌火災1カ月 問われる生活困窮者住宅

 札幌市の生活困窮者向け自立支援住宅「そしあるハイム」の火災で死亡した11人の入居者は、身寄りのない高齢者や障害者など社会的弱者とされる人たちだった。居住福祉政策に詳しい立教大の稲葉剛特任准教授は、生活保護を申請した人の住まいを保証する責任は誰が負っているのか、という問いを投げ掛ける。生活保護申請者から高額な利用料を徴収し、劣悪な環境に囲い込み続ける「貧困ビジネス」が横行する中、善意のサービスを提供する施設への支援を手厚くすべきと考える。

劣悪
 「ホームレスは住居を失っている状態。最初にあてがわれるべきは住宅であって、本来は住宅行政が動くべき問題だ」

 1994年に新宿で路上生活者への生活保護申請などの支援を始め、福祉の現場から住まいの問題に関心を持つようになった。

 90年代のバブル経済崩壊後に日雇い労働者らの仕事がなくなり、路上や公園、河川敷などで暮らすホームレスがあふれていた。

 生活保護制度は健康で文化的な最低限度の生活を金銭で補償するというのが基本的な考え方。そこで2000年ごろから広がってきたのが「貧困ビジネス」だった。

 競売物件などを買い占めて宿泊所に転用。ホームレスを集めて生活保護を申請し、生活保護費のほとんどを宿泊費や食費という名目で天引きした。このビジネスモデルが成功し、各地で同様の施設を運営する団体が現れた。相部屋で劣悪な環境から入居者同士のトラブルが絶えないなど、さまざまな問題を引き起こしている。

居場所
 ところが、多くの生活保護受給者を抱える首都圏を中心とした自治体は、むしろ貧困ビジネスに依存して積極的に利用し続けてきた。

 財政を圧迫するという考えから、生活保護世帯や介護が必要な人の入居先の候補となる公営住宅を基本的に抑制、削減している方針を取っているためだ。

 「貧困ビジネスの施設に入らなければ生活保護を受けさせないという対応をしている自治体が多い。...

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