「自分に呪いかけないで」 虐待被害者の言葉|カナロコ|神奈川新聞ニュース

「自分に呪いかけないで」 虐待被害者の言葉


演じた「いい子」


 そらさんが4歳の頃、実の父親は浮気相手との間に子どもをつくり、家を出ていった。母は義父と再婚するまでの間、4人姉妹を女手一つで育ててくれた。

 義父は事業をしており、つつましく暮らしていた家族が知らなかった世界を見せてくれた。幸せを壊してはいけない。通知表の長所欄で「優しい子」と評価されていたそらさんは、いい子を演じると決めた。

 なかったことにして生きる。現実にある苦しみを切り離すために「これはドラマの撮影なんだ」と想像の世界に逃げ込んだ。

 閉じ込めた気持ちがあふれた中学1年の時、自殺を図った。運ばれた病院で医師から「こんなことしちゃだめだよ」と諭された。腫れものに触るような接され方に、孤独が募った。「ただ、気にしているよ、と言ってほしかった」

「透明」に安堵感


 痛みを他者へ。牙として向けたのは、中学2年の時だ。「死にたい」「殺してやる」。やっとの思いで口にした感情の奥には「(死にたい)くらいつらい、という言葉が隠れていた」と不安定だった時期を分析する。そんな思いに母は気づかず「あんたを殺して、私も死ぬ」と泣いた。

 急変したそらさんを、車で海に連れて行き「何か嫌なことがあるの」とたずねた先生がいた。「そんな簡単には言えないよ」。差し伸べられた手をつかめず、生まれた言葉を自ら消した。いい子から、非行少女へ。かぶる仮面を変えた。

 誰かに殺してほしいと望んでいた。夜の街をうろつき、見知らぬ男にレイプされた。...

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