背筋凍る人間模様 【The Beguiled/ビガイルド欲望のめざめ】|カナロコ|神奈川新聞ニュース

背筋凍る人間模様 【The Beguiled/ビガイルド欲望のめざめ】

 映画「マリー・アントワネット」など、女性の揺れ動く気持ちをフィルムに収めてきたソフィア・コッポラ監督が、一人の男性を巡って女性たちが愛憎劇を繰り広げる心理サスペンスを製作した。

 舞台は1864年の米国・バージニア州。南北戦争下、女子寄宿学園には生徒と教師ら女性7人が暮らす。園長のミス・マーサ(ニコール・キッドマン)=写真左から3人目=は、戦争で家に帰ることのできない少女たちに衣食住を提供し、キリスト教精神に基づいた子女教育にも力を注ぐ。

 ある日、生徒が森の中で足を負傷したマクバニー伍長(コリン・ファレル)=同右端=を見つける。敵兵だったが“女の園”に久しぶりに現れた男性の姿を前に、女性たちは動揺を隠せない。けがが回復したら出て行くのが暗黙のルールだったが、伍長もどうにかして安全な学園に身を潜めようと、彼女たちを誘惑しはじめる-。

 前半は、豪華な食器や衣装などコッポラ監督がこだわった小道具が映像に奥行きを与え、まるで美術鑑賞のように楽しめる。

 だが、後半になると一気にサスペンス色が濃厚に。一度の“判断ミス”が自らの欲望を目覚めさせ、うそが上塗りされていく。もう後戻りはできない絡み合った人間模様が描かれ、ラストは背筋が凍った。

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