水江線ひっそり廃止 昨年9月、道路拡幅の用地提供で・川崎|カナロコ|神奈川新聞ニュース

水江線ひっそり廃止 昨年9月、道路拡幅の用地提供で・川崎

臨海部走る貨物鉄道 工業地帯支える

1988年3月に走った石灰石輸送の「さよなら列車」(神奈川臨海鉄道提供)

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 川崎市臨海部を走る貨物鉄道・神奈川臨海鉄道(本社・同市川崎区)の水江線が廃止になった。ディーゼル機関車がけん引する列車輸送が高度成長下の京浜工業地帯を支えた。新たな道路拡幅に用地を提供するため昨年9月、53年の歴史に幕を閉じた。廃止までの約30年間は荷主がなかったため、その存在を知る人は少なく、ひっそりと姿を消した。

 水江線は1964年3月25日開業。同区塩浜の川崎貨物駅から同区水江町の水江町駅まで約2・6キロを単線で結んでいた。最盛期、沿線の石油、造船、鉄鋼などの企業と引き込み線で結ばれ、石油や石灰石などを輸送したが、貨物のルート変更やトラック輸送への転換で輸送量は減少した。

 石灰石を運んでいた日本鋼管(当時)の専用線が88年3月に廃止されたのを機に荷主をなくした。その後、運転士の訓練などに活用されたが2015年12月に終了し、路線は休止状態に。“晩年”は線路のさび取りをする機関車が1日1往復するだけだった。

 そんな中、川崎区東扇島と内陸部を結ぶ「臨港道路東扇島水江町線」整備事業が進み、水江線と並行する道路の拡幅が必要となった。同社は当初、歴史ある路線を残す意向だったが「地域振興のため」廃止を決断したという。

 廃止となったのは17年9月30日。「さよなら列車」の運行や社内セレモニーはなかった。現在は線路の撤去作業が行われている。同社執行役員で工務部長の菅野隆さんは「自社の路線が消えたことに、あらためて寂しさを感じる」と話す。


 ◆神奈川臨海鉄道 臨海部企業の貨物輸送を行うため1963年6月1日、JR貨物と横浜市、神奈川県などが出資する第三セクターとして設立。現在、川崎市内に千鳥線4・2キロ、浮島線3・9キロの2路線、横浜市内に本牧線5・6キロがある。ディーゼル機関車7両を配置し、旧国鉄から引き継いだ蒸気機関車C56を保存。自社線の営業のほかJR貨物の業務受託を行っている。

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