最新技術集めた自動車運搬船 日本郵船所属、7000台運ぶ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

最新技術集めた自動車運搬船 日本郵船所属、7000台運ぶ

ECDIS(電子海図表示装置)のモニターを示す藤本1等航海士=「アリエス・リーダー」操舵室

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 海運会社にとって安全と環境への取り組みは最も重要な経営課題だ。海運大手の日本郵船(東京都千代田区)は安全・確実な「モノ運び」を基本理念に掲げ、さまざまな航海機器を導入している。同社の船で唯一、環境への対応姿勢を示す緑色を基調にしたグラデーションラインが配色されている自動車専用船「アリエス・リーダー」(6万9931トン)を取材した。

 同船は2014年に新来島どっく大西工場(愛媛県今治市)で竣工(しゅんこう)。全長約200メートル、全幅約36メートル。最新の省エネ技術を初導入し、従来の自動車専用船と比べて大幅な二酸化炭素(CO2)排出量削減を実現した。最大で7千台もの乗用車を積載でき、横浜や名古屋など国内の輸出港と海外のさまざまな港を結んでいる。

 横浜港・大黒ふ頭(横浜市鶴見区)に着岸した昨年12月、1等航海士の藤本和浩さん(38)が操舵(そうだ)室を案内してくれた。

 自動車専用船は比較的軽い上に船体が空洞で大きいことから、巨大な「浮かぶ風船」に例えられる。クルーズ客船「飛鳥2」(5万142トン)で勤務経験がある藤本さんは、自動車専用船は特に横からの風の影響を受けやすいと明かす。

 操舵室は航海機器が電子化され、操船の自動化が進んでいる。

 同社の主な船は自動車のカーナビに相当する電子海図表示装置「ECDIS」(エクディス)を採用している。同船はECDIS上で航路を設定すれば、衛星利用測位システム(GPS)やコンパスと連動しながら自動で舵(かじ)を切る装置「TCS」(トラックコントロールシステム)を搭載。「自動車でいうレーンキープアシスト。海流や風の影響を補正しながら最適な航路を保持するので、無駄な燃料を抑制できる」と説明する。

 航行中はレーダーで周囲の船が向かう方向や距離を測定し分析。衝突の可能性がある場合は自動衝突予防援助装置が作動し、回避行動を取る判断材料となっている。レーダーで得られる情報や、大型船に備え付けられている自動船舶識別装置(AIS)で得られる船名や位置、船首の方向や速力などの情報はECDISのモニターに統合して表示させており、操船中の判断に役立てているという。

 その上で、藤本さんは「衝突を回避する判断を下すのは人。航海中は見張りは欠かさず、操舵室が無人になることは絶対にない」と強調。双眼鏡を使った見張りのほか、方位を測るコンパスも活用。灯火や形象物を確認したり、汽笛などの音響信号や無線機器を使って安全航行を心掛けている。

 外洋などの海域では操舵室にいるのは航海士と操舵手の二人のみ。4時間で当直を交代するという。士官が休憩や食事で使う専用ラウンジはカラオケやソファがあり、くつろげる空間となっている。「緊張を強いられる乗船勤務だからこそ、リフレッシュする時間が大切」と笑顔を見せた。

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