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必要とされる俳優に

古川雄輝さん

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【KーPerson】古川雄輝


 北海道を舞台に、2組のそっくりな男女の奇妙な巡り合わせを描く日韓合作映画「風の色」で、マジシャンの涼と隆(りゅう)の一人二役に挑んだ。

 「猟奇的な彼女」で知られるラブストーリーの名手、クァク・ジェヨン監督との作品に「気合が入った」という。

 美しい雪景色や流氷の映像には詩情があふれているが、冬の北海道での撮影とあって寒さとの戦いだった。「今まで8年間俳優をやってきて、正直、一番大変だった。圧倒的に過酷な体験でしたね」と振り返る。

 体に鎖を巻き、海中に投げ込まれた箱の中でその鎖を解き、箱の錠を開けて出る、という脱出マジックが大きな見せ場。実際に体に鎖を巻いて水に潜り、息が続くぎりぎりまで演技を続けたり、氷点下の気温で水をかぶったりした。氷水の浴槽に身を沈めたこともある。そんな「過酷な体験」を乗り切り、迫力あるマジックシーンが完成した。

 マジシャンのMr.マリックに指導を受けた。「楽しかったです。ただ、本番直前にどんなマジックを使うか決まることが多く、なかなかの緊張感でした」

 撮影中は、クァク監督といつも一緒に食事を取っていたという。「韓国ではロケ弁でも温かいのが普通らしく、お弁当のご飯が温かくてうれしかったですね。監督自らキムチを勧めてくれました」

 童顔で幼くみられがちだが、昨年12月に30歳を迎えた。「必要とされる俳優になりたい。必ずしも主役じゃなくてもよくて、『この作品、古川君に入ってほしいよね』と。演技のうまい人じゃないとそうなれないと思っているので」

 帰国子女ならではの視点も持つ。「日本の兵隊の役を、アジア系の役者が片言の日本語で演じているのを見ると、子どものときから、なぜ日本人がやらないのかと思っていた」。既に英国では舞台を踏み、中国では主演ドラマの撮影を経験するなど、海外での活動も視野にある。

 クァク監督は「不思議な魅力がある。年を重ねていくと男っぽくなるでしょうね」と評する。実際、序盤のベッドシーンでは男性らしい色気が漂う。「監督もどきっとしたそうです」。口の端でほほ笑む顔が、何だか不敵に見えた。

ふるかわ・ゆうき 俳優。1987年東京都出身。7歳でカナダへ渡り、以後11年間を海外で過ごす。帰国後、慶応大へ進学。2009年ミスター慶応コンテストでグランプリに輝き、芸能界へ。
主演ドラマ「イタズラなKiss~Love in TOKYO」(13年)が中国で大ヒットし、アジア圏で広く支持されている。主な出演作品にNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」(16~17年)、Netflixオリジナルドラマ「僕だけがいない街」(17年)、映画「脳内ポイズンベリー」(15年)、「ライチ☆光クラブ」「太陽」(16年)、「曇天に笑う」(18年3月公開)、「となりの怪物くん」(同年4月公開)など。主演映画「風の色」はTOHOシネマズ川崎などで26日から上映。


記者の一言
 「頭の回転の速い俳優になりたい。いろいろ対応できる人は見ていて魅力的だと思いますし」と語る姿に、いや、もう十分速いですよ、と思ってしまった。答える姿に隙がない。ツンデレぶりを楽しく拝見していた「イタズラなKiss」の主役、秀才の入江君そのものだ。大学進学の際「やりたいことがなくて、選択肢を増やそうと理系に」と慶応大理工学部へ。横浜の日吉キャンパスでは、制御理論の実験をしているか、所属するダンスサークルで踊っているかのどちらかだったそう。「駅前のラーメン店『武蔵家』や『らすた』にはよく行った」とも。「学生時代はお金がなくて、中華街でも2千円で食べ放題できるところに行って、みんなで誕生会とかしましたね」。そんな話を聞くとちょっとほっとした。

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