ナラ枯れの怪、県内で初被害 昨夏に240本 害虫駆除県、検討へ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

ナラ枯れの怪、県内で初被害 昨夏に240本 害虫駆除県、検討へ

ナラ枯れが確認された横須賀市長沢・津久井の山林(県提供)

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 コナラやミズナラなどの樹木が集団で枯れる「ナラ枯れ」被害が2017年の夏、県内で初めて確認された。これまでに箱根山地や三浦半島、鎌倉、相模原の県内6カ所で約240本が枯死。全国各地に被害が広がった経緯があり、県は状況把握を急ぐために情報提供を呼び掛けるとともに、地元の市町村と協力して被害拡大を抑える対策に乗り出す意向だ。

 ナラ枯れとは、木の中に入り込む在来の昆虫カシノナガキクイムシが媒介する「ナラ菌」によって引き起こされる病気。大量繁殖すると、木は根から水を吸い上げる機能を失い、急速に枯死に至ってしまう。

 被害は、7~8月の夏の盛り、紅葉期を前に葉が赤褐色に変色を始めるのが特徴。体長約5ミリのカシノナガキクイムシの発見・同定は難しいが、幹に直径2ミリ前後の多数の穴、根元に大量のフラスと呼ばれる木くずなどの粉がたまっているのが見られる。

 尾根や林縁部など明るい場所や、前年の被害地から近い場所に発生する傾向が強い。大量枯死で生態系への悪影響のほか、里山の景観悪化や落枝、倒木により通行人への危険性も懸念されるという。

 県水源環境保全課によると、ナラ枯れは1990年前後より、日本海側を中心に全国各地で目立つようになった。近隣の静岡県で2010年度に被害が確認されたため、神奈川県が13年度から捕獲器を森林内に設置。16年度に大磯町の山林で3匹が捕獲され、警戒していた。

 そうした最中、17年8月以降、箱根町の湯本と仙石原、三浦市三崎町小網代、鎌倉市二階堂、横須賀市長沢・津久井、相模原市南区上鶴間の6カ所でナラ枯れが相次いで確認された。被害面積は合わせて約2・5ヘクタールで約240本に及ぶ。

 林野庁の補助事業で作成された被害対策マニュアルでは、被害木の早期発見、初期対応の重要性を明記。県は今回、チラシを作成し、市町村担当者の研修会を開催し、注意喚起や発見時の通報を呼び掛けている。

 マニュアルによると、カシノナガキクイムシの幼虫は現在、樹木内で越冬中で、6~9月に成虫となって飛び出し、新たな健全木を探し、穴を開けて中に入り込む。発散する誘引物質によって多数が集まり、孔道内に雌が持つナラ菌も増え、樹木の通水機能を低下させる。

 予防策として健全木への殺菌剤の注入や粘着シート被覆、駆除策は伐倒によるくん蒸処理などが効果がある。里山に植えられたナラ類が1960年代の燃料革命で、薪炭林としての活用が減って放置、大径木化したことが、ナラ枯れの発生要因の一つに挙げられた。

 同課は「県内で過去発生事例のないナラ枯れ被害が今回、県内にも広がった原因は不明。カシノナガキクイムシの生息分布も分かっていない。ただ、枯死率が高く、周辺に被害が拡大していく傾向がある。監視体制を強化し、2018年度は駆除対策を検討したい」と説明している。 

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