時代の正体〈559〉「差別主義者は卑怯者」 私が断じるわけ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

時代の正体〈559〉「差別主義者は卑怯者」 私が断じるわけ

記者の視点=デジタル編集委員・石橋 学

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/12/09 22:32 更新:2018/11/25 17:40

私たちの問題として


 10日午後2時からの講演会が近づく。

 利用申請を受け付けた川崎市教育文化会館は当日まで瀬戸氏のブログをチェックし、最終的な判断を下すとしている。ガイドラインは申請者の過去の活動歴だけでなく、許可後にどのような情報発信をしているかを見極め、許可の取り消しができると定めているからだ。

 会館側は言う。

 「ネットにアップされるであろう動画などで当日の講演内容を把握し、それによってどんな影響が出るかも見ていくことになる。当然、次回以降の貸し出しの際の可否判断の材料になる」

 許可申請に始まり、書き連ねてきたブログの一文字一文字、講演会での一言一言が、瀬戸氏が守りたいと思っている「差別する自由」を縛っていることに本人は気付いているだろうか。

 許可の取り消しを求めてきた市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は当日の午後1時から、会館の最寄りのJR川崎駅東口で街宣活動を行い、ちらしを配る。

 〈共に生きよう〉

 太字のメッセージは続く。

 〈川崎の街は差別を許しません〉

 〈川崎には国籍数100カ国を超える、38000人の人々が共に暮らしています〉

 合わせてスイセンの球根を配る。

 「差別のない社会を育むのは私たち」

 そんな思いが託されている。

 もう瀬戸氏に「在日朝鮮人対日本人」などとは言わせない。「在日朝鮮人対差別主義者」でもない。差別主義者と対峙(たいじ)すべきは、平等であらゆる人の尊厳が守られる社会を望む私たちすべてなのだ、と示すときだ。

 そのための行動を私は呼び掛けたい。

 思い思いのやり方があっていい。ちらし配りの列に加わる。球根を受け取り、託された思いに心を寄せながら、花咲く春を待つ。

 川崎市のヘイトスピーチ対策への支持を表明し、応援する。ときに事なかれに走る背中を押し続ける。ネット上で拡散された瀬戸氏の言動を記録し、いかに差別的で危険なものであるか市に伝える。

 私たちの問題なのに、取り上げようとしない報道機関に取材を求めるのでもよい。ネットで差別的書き込みを見つけたら、プロバイダーに通報し、削除を要請する。あなたが川崎市民でなければ、自分の住む自治体にもガイドラインや条例といった対策を求める。

 瀬戸氏ら差別主義者が川崎市を狙い撃ちしてくるのも、ヘイト対策の先頭を走っているからだ。差別の根絶を願うその声がひときわ大きいからだ。

 川崎市を孤立させまい。声を発し続けるその人を一人にしまい。

 かたや差別主義者を一方的に非難し、孤立させることにためらう必要はない。
 自らの愚かしさを気付かせるため、差別をしていては共に生きられないと思い至らせるため、それでも改心のさせようがないという現実を知り、やはり法規制が必要だと認識するため、そうして差別主義者が存在している私たちの社会の不公正、不正義をただし、私たちの社会を守るため、である。

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