県立川崎図書館休館 工都と歩んだ60年|カナロコ|神奈川新聞ニュース

県立川崎図書館休館 工都と歩んだ60年

来年5月、KSPに移転へ

工場や事業所で働く青少年のために教養書や小説を載せて地域を巡回した移動図書館「青雲号」 =1973年初めごろ(県立川崎図書館提供)

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 県立川崎図書館(川崎市川崎区富士見)は、来年5月のかながわサイエンスパーク(KSP、高津区)への移転に向けた準備のため、12月1日から休館する。開館以来、川崎臨海部を抱える川崎区で工都と共に歩んできた同館。11月30日、60年近くの歴史を刻んできた地で最後の開館日を終えた。

 「ここでの最終日ということで来た。戦前の社史も集まっていて素晴らしい図書館」。午後7時に閉館時間を迎え、同館を出た男性会社員(35)は名残惜しそうに役目を終えた建物をカメラに収めていた。

 KSPへの移転は、市の富士見周辺地区再整備の方針や県の緊急財政対策を踏まえ、2013年12月に県教育委員会が決めた方針に基づくもの。5カ月余にわたる休館を前に「11月は駆け込みの利用も多かった」(同館)という。

 国内有数の産業系図書館として知られる同館は1958年、第2の県立図書館として市有地に開館。当初は自然科学、工業系の図書や雑誌、資料を収集する一方、文学、児童書など一般図書も扱った。

 同館によると、当時では珍しい冷暖房完備とあって、しばらくは入館する人たちで長蛇の列ができた。昭和30年代はレコード会社の解説員と新譜を聴くレコードコンサートも好評を博し、昭和50年代は子ども向けのおはなし会が活発だった。

 工都らしい活動といえば、70年から14年間続けた移動図書館車による「青雲文庫」。勤労青少年のため、荷台に本棚を備えた「青雲号」が教養書や実用書などを載せ、工場や事業所、寮を巡回した。

 市の公共図書館が整備されてからは「科学と産業の情報ライブラリー」をうたい、社史・団体史や特許関連などをそろえ産業系図書館として磨きをかけた。今年11月22日に累計の入館者数が1千万人に達した。

 KSPでは来年5月中旬に再オープンの予定。西棟2階にカウンターと閲覧室、R&D棟2階に書庫を置く。蔵書約43万冊のうち約30万冊を移管し、相模原市南区の外部書庫で約12万冊を保管する。「利用者に不便がないよう一体的に管理する」(同館)とし、残りは県立図書館(横浜市西区)などで活用する。

 移転後は電子化された有料の学術論文誌の館内閲覧や、蔵書管理の効率化のためのICタグ導入などを検討中。同館の矢島薫科学情報課長は「この地で培ってきた産業系図書館としての専門性を基盤にものづくりに役立つ施設として発展していきたい」と話している。

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