アルビノが問う「普通」 粕谷幸司さんに聞く|カナロコ|神奈川新聞ニュース

アルビノが問う「普通」 粕谷幸司さんに聞く

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/11/26 11:28 更新:2017/12/17 00:57
 生まれつき頭髪が茶色にもかかわらず、大阪府立高校の女子生徒が校則を理由に黒染めを強要されたとして府を訴えた問題が報じられた。垣間見えるのは「日本では黒髪が普通だから」という固定観念ではないか。では、普通に合わせるのが正しく、普通でないことは間違っているのか。そもそも普通って何だ-。先天的に肌や体毛が白い「アルビノ」のエンターテイナー粕谷幸司さん(34)=東京都在住=を訪ねた。

 都内の商店街の外れにある小さな居酒屋。天井の電球に照らされ、透明感を帯びた白い髪が光る。粕谷さんは丁寧に言葉を発した。

 「『人と同じではない』ということと、『普通ではない』ということは、違うんじゃないかな」

 自分はアルビノの人生しか生きていないから、世間でいう普通の人の感覚を知らない。逆に普通の人は、いわゆる普通という基準から外れた自分の感覚は分かるはずがない。普通の基準は人それぞれ違う。「だから僕と社会一般の普通の感覚は、平行線でずっと交わることがないと思う」

 1983年夏、埼玉県所沢市で生まれた。頭髪からまつげまで全身の体毛が白く、瞳も青っぽい赤ちゃん。診断を受けるまでもなく、すぐに遺伝子疾患のアルビノと分かった。

 母親は悲観しなかったという。それどころか、常に「幸司は他の人と違ってきれいね」と声を掛け、愛情を注いでくれた。だからだろうか。粕谷さんは劣等感を抱くこともなく、自信を持って生きてきた。環境が変わるたび、自分の口から教諭や同級生らに自らの特性を説明し、理解を得てきた。

 現在は写真モデルをはじめ、声優の仲間と組んだユニットで楽曲発表やインターネットラジオ放送を行うなど、タレント、エンターテイナーとして活躍する。

 かつて、顔にあざがあるなど偏見に苦しんでいる人たちと一緒に「見た目問題」というくくりでメディアに取り上げられたことも何度かあった。しかし、粕谷さん自身は「(外見のことを)社会問題として押し出すのは、僕のやりたいこととは違う」と、今はそうした活動とは距離を置いている。

 粕谷さんは言う。「僕の人生において、僕という人間がアルビノであるのは普通のこと」

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