さらば 学生街の喫茶店 日吉「まりも」が来月閉店|カナロコ|神奈川新聞ニュース

さらば 学生街の喫茶店 日吉「まりも」が来月閉店

慶大生ら世代超え集い

落ち着いた調度品が並ぶ店内で思い出を語る加藤政義さん。窓の外の水槽にはコイが泳ぐ=横浜市港北区

 「学生街の喫茶店」がこの年末、静かに灯を落とす。慶大生が通った横浜市港北区の「まりも」。初めは小さくても、いずれ豊かに育つ-との願いを込めた屋号の通り、世代を超えてファンが根ざした。変わりゆく街並みに、変わらないコーヒーの香り。

 東急線と市営地下鉄の日吉駅から徒歩数分、れんがタイルの建物に「珈琲(コーヒー)」の看板が見える。食品サンプルの並ぶガラス棚、マホガニー色のがっしりした椅子、銅板細工の電灯のかさ。ホッとする「昭和喫茶」のたたずまいだ。

 「急にお客さんが増えた気がしますね、懐かしがって来る人も多いようで」。マスターの加藤政義さん(70)は話す。自身の年齢などいくつかの事情が重なり、閉店を決断した。そのことをレジに告知して以来、インターネットで情報が広まり、かつての常連も再訪するようになっている。

 同名の喫茶店を川崎市中原区で営む親戚に倣い、38年前に家業の米店からくら替えした。チェーン店の少ない時代、学生街ならばはやるだろう-。「でも、最初はお客さんが入らなくて…。助けてくれたのは慶応の学生でした」。見かねたテニスサークルのキャプテンが、大勢の部員をまとめて連れてきたのだ。

 レジに一冊の大学ノートがある。かつて店をたまり場にしていたピアノクラブの卒業生の雑記帳だ。高校生の息子を伴って訪れたOBは、こうつづった。「日吉駅の変わりようには大変驚きました」。けれども「ここは変わりませんね」。開店の頃の学生は、今では50~60代になった。

 最後の営業は12月20日。「やりきったと思う。今は普段通りだけれど、店を閉めたら、じーんとくるのかな」と加藤さん。まりもの屋号は、跡地に建てるビルの名に残すつもりでいる。

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