小林多喜二の母描く 12月上映会|カナロコ|神奈川新聞ニュース

小林多喜二の母描く 12月上映会

中原で上映会

亡くなった多喜二に「もう一度立ってみせぬか!」と訴える母セキ(映画「母 小林多喜二の母の物語」)

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 「蟹工船」で知られるプロレタリア文学の代表的な作家、小林多喜二(1903~33年)の母親が歩んだ波乱の人生を描いた映画「母 小林多喜二の母の物語」が12月7日、川崎市国際交流センター(中原区)で上映される。空襲で焼け出された体験を持つ山田火砂子監督(85)(現代ぷろだくしょん提供)=は、「戦争で一番悲しい思いをするのは母親。戦前のように母親から子どもを奪うような時代にならないように」と平和への願いを込めてメガホンを取った。

 作品は、三浦綾子さん原作で、現代ぷろだくしょん製作(1時間52分)。多喜二の母親セキに寺島しのぶさん、多喜二は塩谷瞬さんが演じ、佐野史郎さんや渡辺いっけいさんら個性的な俳優陣が脇を固める。貧しい家に生まれたセキの次男、多喜二は貧しい人の味方となって小説を書き、「武器を作るお金で皆に白い米のご飯を!」と反戦を訴え続けた。しかし、その小説は危険思想とみなされ、治安維持法下の特高警察に逮捕された上、拷問で殺害される。

 児童文化福祉賞受賞作品「筆子・その愛」や「望郷の鐘」で知られる山田監督は、13歳で東京大空襲を経験。「目の前で家が焼け、疎開した山梨では息子を失ったショックで正気を失った母親がいた。近所でも『九段の母といわれてもうれしくない。それより息子を返してほしい』と言ったお母さんたちの言葉が耳から離れない」という。

 「秘密保護法の次に、治安維持法などが制定され、戦争へと向かわないように。多喜二の母を二度とつくらない世の中にするためにも、その受けた悲しみ、苦しみを見てほしい」と続けた。

 多喜二が31年3月から約1カ月間滞在し、小説を執筆した厚木市の七沢温泉の旅館「福元館」に残る部屋でもロケをし、今年2月に完成。全国で上映し、これまで10万人が鑑賞しているという。上映は、午前10時半、午後2時の2回。チケットは一般前売り1200円(当日券1500円)、小中高生500円、障がい者・大学生千円。問い合わせは、現代ぷろだくしょん電話03(5332)3991。

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