時代の正体〈552〉加速するネットの被害 人種差別撤廃基本法(上)|カナロコ|神奈川新聞ニュース

時代の正体〈552〉加速するネットの被害 人種差別撤廃基本法(上)

ヘイトスピーチ考

  • 神奈川新聞|
  • 公開:2017/11/11 21:21 更新:2018/11/27 20:59
国会議員も参加した院内集会=2日、参院議員会館

国会議員も参加した院内集会=2日、参院議員会館

【時代の正体取材班=石橋 学】差別を禁止し、根絶のため基本方針の策定から国や自治体の責務までを包括的に定める人種差別撤廃基本法の制定を求める院内集会が2日、参院議員会館で開かれた。ヘイトスピーチ解消法施行1年半を前に、法律家や研究者らでつくる外国人人権法連絡会などが主催した。法務省が3月に発表した外国人住民調査報告書に基づく報告から、なぜいま基本法なのかを考える。

 日本映画大学教員(社会学)のハン・トンヒョンさんは、インターネット上のヘイトスピーチによる「実害」の存在を浮かび上がらせた。

 調査では、インターネットを利用している人に差別的書き込みに関する経験を聞いている。回答した3396人のうち、「1 日本に住む外国人を排除するなどの差別的記事、書き込みを見た」は1411人で41・5%、「2 上記のような記事、書き込みが目に入るのが嫌で、そのようなインターネットサイトの利用を控えた」は674人で19・8%、「3 自分のインターネット上の投稿に、差別的なコメントを付けられた」は145人で4・3%、「4 差別を受けるかもしれないので、インターネット上に自分のプロフィールを掲載するときも、国籍、民族は明らかにしなかった」は503人で14・8%だった。

 ハンさんは言う。

 「特に重要なのは2と4の回答。利用を控えたり利用方法を変えるという、外国人でなければ不要な対応を取らざるを得ない状況がある。つまり実害が生じている」
 

定着しているほど


 ハンさんは回答者の内訳にも着目する。実害を受けている被害者は、日本生まれや日本への定着度の高い、旧植民地にルーツを持つ人々の割合が高くなっている。「歴史的に関係が深く、日本に定着しているほど被害者になっている」

 例えば、「4 差別を受けるかもしれないので、インターネット上に自分のプロフィールを掲載するときも、国籍、民族は明らかにしなかった」は全体では14・8%だが、国籍別に見ると、中国17・5%、韓国27・4%、朝鮮52・2%となる。在留資格別では、特別永住者29・5%、日本での在留期間も「生まれてからずっと」が39・0%に上っている。

 「日本語も堪能でネットを使いこなし、日本人と同じように社会生活を送っているにもかかわらず、また、そうであるからこそ同じように使うことができない。明らかな不利益が存在している」

 ハンさんは続ける。...

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