港WORKER:出航 客船ゆるキャラ|カナロコ|神奈川新聞ニュース

港WORKER:出航 客船ゆるキャラ

船の絵クリエーター・PUNIP cruisesさん

「柳原良平さんに少しでも近づきたい」と話すPUNIP cruisesさん=横浜港大さん橋国際客船ターミナル

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 船の楽しさ、素晴らしさを伝えたい-。「船の絵クリエーター」を称するPUNIP cruises(プニップ・クルーズ)さん(60)は船好きが高じて、心に留まった船と港の景色を描き続けている。ブログや会員制交流サイト(SNS)での発信にとどまらず、客船のゆるキャラを創作し、絵画展を催すなど活動を広げてきた。


◆柳原良平さんの作品に魅せられ 愛するミナト描く
 始まりは、船好きで知られるイラストレーター柳原良平さん(享年84)の作品との“巡り合い”だった。

 中学生のとき、伊豆大島に家族旅行したのが初めての船旅だった。東海汽船の旅客船かとれあ丸での復路で横浜港に寄港した際、大さん橋に停泊していた純白の外国客船に目を奪われた。「かとれあ丸でも楽しいのに、外国客船はどんな世界なのか」。客船への興味から柳原さんの本を手にして「深みにはまった」。柳原さんの絵にすっかり魅せられたのだ。

 就職後はしばらく船の世界から離れていた。再開するきっかけは、普及が始まったインターネットだった。珍しい船でも詳細なデータを検索できることに驚いた。高校生のころに通い詰めた大さん橋で見た外国客船を次々に思い出しては絵を描くようになり、15年ほど前からはブログで週に1回ほどのペースで発表するようになった。

 写真とは違い、船の絵は想像力で描ける強みがある。竣工(しゅんこう)前の船を図面から完成予想図を描いて横浜港に浮かべた。引退した船と新造船を並べたところ、閲覧者の反応が大きかった。

 10年ほど前には、客船のゆるキャラ「クルボン」を考案しブログで発表。名前はクルーズと、フランス語の「よい旅を」という意味のボン・ボヤージュを組み合わせて造語した。客船の特徴を現しており、減揺装置フィンスタビライザー、船を横方向に動かす装置バウスラスター、煙突やアンテナを備えている。あくまでも客船という設定だが「おばけというか、妖怪というか、妖精というか…」。

 愛らしい姿に、広島県呉市の船好きの若い女性がぬいぐるみを作りたいと提案し、プニップさんと意気投合。同じころ、さまざまな船会社や船員から「クルボンをうちの船に」と声が掛かった。呉で“建造”されたクルボンたちは豪華客船にっぽん丸や瀬戸内海のレストラン船銀河、帆船みらいへなど、多くの船に乗船していった。

 最初に建造したクルボンは、大さん橋のインフォメーションに“停泊”している。きっかけは、プニップさんが所属した船舶絵画サークルが2009年から毎年開いた絵画展だった。クルボンは絵画展のキャラクターのように扱われていたが、7年ほど前からそのまま居ついてしまったのだ。

 絵画展がきっかけとなり、プニップさんの絵は横浜港振興協会の広報誌「よこはま港」の表紙に昨年秋号から採用された。実は、創刊号から100号までは柳原さんが表紙絵を担当したことでも知られている。

 「子どものころにあこがれ、その絵を懸命にまねることから始まった。まさか自分の絵が柳原さんと同じ誌面の表紙を飾るとは」と、巡り合いに感激する。クルボンも、柳原さんの「アンクルトリス」のような親しまれるキャラクターにと創作した。プニップさんは「絵を通じて船と港を愛する人たちが増えてほしい。そして、柳原さんに少しでも近づければ」と前を見据えている。

 プニップさんの絵画展は11月5日から、横浜市中区山下町のギャラリー・レーシー(横浜YWCA会館1階)で開かれる。入場無料で8日まで。

 大さん橋100年の歴史を同じアングルから描いた12枚の絵で表現した大作も。昔の作品は即売し、新たな注文も受け付ける。設営と撤収時間を除く午前11時~午後6時。詳しくはプニップさんのブログ。

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